テレフォンショッキングのイメージが強い視聴者も多いだろう(写真は本人提供)

テレフォンショッキングのイメージが強い視聴者も多いだろう(写真は本人提供)

「『笑っていいとも!』の生放送後、タモリさんはよくランチに連れて行ってくださいました。ある日、『どうしたらバラエティ番組の中でもっと上手にいられるのでしょうか』と聞いたんです。そうしたら『僕は自分が出た番組を後から観ない』って。それだけおっしゃったんです。私は聞き返せませんでした。

 それからずっと考えて、そうか、バラエティは瞬発力が大事で、後から『ああすればよかった』と考えても仕方ない、その場を楽しめということかな、と。それがタモリさんの真意だったのかは判りませんが、それから少し気持ちが楽になりました」

「フジテレビはずっとカラフルで面白い」

 報道からバラエティまで幅広い仕事を経験してきた約40年間のアナウンサー生活。いま思うのは「フジテレビへの感謝」だという。

「報道、報道って言い続けていた私の“人としての幅”を、仕事を通して広げてくれました。20年以上続けた美術番組も、レギュラー番組を持っていなかった私に居場所を与えてくれましたし、ここで身につけたアートとの接し方や人脈が、今も人生を豊かにしてくれています。フジテレビは本当に面白い会社です。

 いろんなタイプの方がいて、とってもカラフル。他の部署の人と話をしても、同僚と話をしても、びっくりするような話題や提案が出てきます。何より、女性アナウンサーとしては異色だったであろう私をずっと置いてくれたのですから、なかなか面白いでしょ?」

 YouTubeの台頭や娯楽の多様化などで、テレビ業界も変革期を迎えている。阿部さんは「今後のフジテレビ」にどういう気持ちを抱いているのか。

「テレビは斜陽産業とかオールドメディアとか言われますけれど、私はまだまだテレビにワクワクしているし、今後フジテレビがどうなるかについてもワクワクしているんです。フジテレビにいる人がみんなワクワクしながらコンテンツを創り続けてほしいです。

 報道に携わる者は、現場により近づくことが許されています。もちろん、それは視聴者や読者の方に伝えるためです。報道に残ったのも、“世界で起こっていることをいち早く知りたい“ということ。そして、大好きなフジテレビがこれから向かう世界をより近くで見ていたいという気持ちもあるのかもしれません。できる限りフジテレビにいて、自分の人生をとても楽しく豊かにしてくれたことへの感謝をこめて、丁寧に仕事をしていきたいです」

 これからも、阿部さんとフジテレビの未来に注目し続けていきたい。

(了。第1回から読む)

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