かつてインターネットは、そのユーザーの見た目も年齢も、社会的地位などの垣根を超えて知識を共有し助け合うことが可能になる、という面が高く評価されていた。そのプラス面はSNSでも発揮され、見知らぬ者どうしが助け合ったり、知恵を出し合う場面にディスプレイやスマホ画面越しに遭遇して、温かい気持ちになった人も多いだろう。ところが最近は、収益のためなら何でもするユーザーたちによって混乱させられることが増えている。その結果、人の善意で成り立っていたネットの、SNSの共同体としての機能が失われかねない。
意味不明な投稿の羅列で混乱させられるだけでなく、収益のために手段を選ばないユーザーたちによる投稿で、デマやフェイクニュースがネット上で急増している問題に対して、総務省は能登半島地震の発生翌日にはX、メタ、Google、LINEヤフーのプラットフォーム4社に対して、適切な対応を要請したほどだ。
Xでは前述のようにコミュニティノート機能などもあるが、質の悪い投稿があまりにも多すぎて追いつかない状態だった。現状は、ユーザー側で情報の真贋を見極める必要がある状態だ。
Xにおけるデマ騒ぎは、災害時だけではない。3月にも、「福岡銀行から、3月14日に取り付け騒ぎが起こることに備えて行員に通知がありました」などとXに投稿があり、ふくおかフィナンシャルグループが「経営・資金繰りなど全く問題ない」と否定する羽目に。投稿は削除されたが、それまでに140万回以上拡散された。過去には噂から実際に取り付け騒ぎが起きた例もあり、大きな騒ぎになる恐れもあった。情報の見極めは重要なスキルとなっているのだ。
「だいふくあまい」と平時の対策がポイント
もともと、災害時はデマが広がりやすいと言われている。不安感から人々は情報を求めるが、混乱から情報が錯綜した状態となり、不確かな発信でも飛びついてしまいやすいためだ。