このような事態になった理由には、Xの仕様変更が大きい。2023年7月より、Xでの収益化プログラムがスタート。Xプレミアムに加入した上で、フォロワー数500人以上、3ヶ月以内のインプレッション数が500万件以上などの条件を満たすと、自分の投稿のリプライに表示される広告から収益が得られるようになった。
この際、投稿の質は問われず、単にインプレッション、つまり他のユーザーに対してどのくらい露出したかで収益が得られる。その結果、バズった投稿のコピペ投稿が急増した。
コピペする側は現実のバズり投稿に便乗したいだけなので、コピペ元がいつ起きた何に関するものなのかは頓着しない。そのため、たとえば5年や10年も前の投稿をコピペし、2024年1月1日に発生した能登半島地震で起きている何かと誤解させようと投稿する。それらを一読しただけで「いいね」したりリツイートするユーザーが続いたことで、注目のX投稿がデマだらけになってしまったのだ。その結果、かつてはXでの話題を追えばニュースよりも早く事件や事故の様子をなんとなく知ることができたが、最近は混乱させられるばかりだという愚痴も聞こえる。
「あああ」「Good」などの意味のないリプライ
SNSを普通に利用したいユーザーを惑わせているのは、わざとウソの投稿をして結果としてデマを拡散させるユーザーの存在だけが原因ではない。さらに「インプレゾンビ」「リプライゾンビ」がわいていることも、Xが混沌としている理由になっている。
人気の投稿にいち早くリプライをすると、その投稿が見られるたびにリプライ投稿も同時に表示されるが、その”ついで”の表示でもインプレッションを稼ぐことで参加できる広告収益を手にできる。そこで、フォロワーが多い人気のユーザーの投稿には、「smile」「あああ」「Good」などの意味のないリプライが数多くつく。たとえば報道機関による注目ニュース投稿のリプライ欄が、意味不明もしくは馴染みが薄い外国語だらけということが増えている。
これらはインプレッション目当てのbotによるリプライであり、「インプレゾンビ」「リプライゾンビ」などと呼ばれる。なおゾンビと呼ばれる理由は、人ではなくbotによるものだからだ。