ライフ

《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念

宗田理先生

4月8日、天国に旅立たれた宗田理先生(撮影/山口比佐夫)

 4月8日、著書『ぼくらの七日間戦争』をはじめとする『ぼくら~』シリーズで知られる作家・宗田理さんが急逝した。95歳だった。風邪から肺炎を起こし、8日の夕方6時26分に名古屋市内の病院で家族に見守られながら、息を引き取ったという。亡くなる直前まで創作意欲に溢れ、「未来ある子どもたちに届け」と筆を執り続けていた。

 宗田さんが体調を崩す1週間ほど前の3月29日、NEWSポストセブンはインタビューを行っていた。宗田さんがリライトした最新刊『ぼくらのイタリア(怪)戦争』(角川つばさ文庫)の出版に合わせての取材だった。御年95歳とは思えぬ元気さで、時には熱く、時には優しく、身振り手振りを交えてお話いただいていた──。

 取材当日は季節外れの暖かさだった。場所は愛知県名古屋市にある「宗田事務所」。宗田さんは東京・世田谷生まれだが、医師だった父親が早くに亡くなり、小学校3年のときに母方の実家がある愛知県へ転居。高校卒業後、日本大学芸術学部映画学科進学のため上京し、その後、東京で雑誌編集者などをしていたが、作家活動を始める前に愛知県に戻り愛知を拠点に執筆活動を行っていた。

 事務所に到着すると、宗田さんは長女に車椅子を押されて現れたが、とても元気な様子だった。「今日はよろしくお願いいたします」と、気さくに挨拶をしてくれた宗田さんは、高齢で左目の視力をほぼ失っていることを明かした。そんな体調にもかかわらず、事前に編集部が送っていた企画書にも目を通され、質問に対する答えを丁寧に文書で用意してくれていた。

 インタビュー取材中は終始楽しそうに、映画『ぼくらの七日間戦争』当時の思い出、現代の子どもたちを取り巻く環境、多忙な日々を送る日常生活からかわいがっている孫娘の話までも語られた。最近の宗田さんは、テレビショッピングやネットで買い物をするのが大好きだそうで、とくにかわいい生き物の小物を見つけると、買わずにいられないようだった。お気に入りはネズミで、かわいい木彫りの置物など、欧州で購入した小物を見せてくださった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン