2025年の「大阪・関西万博」の会場建設費は当初の予算と比べて膨れ上がっている(写真/AFP=時事)
大阪市内の喫煙所「120カ所あれば足りる」根拠
世間では禁煙・分煙化の流れが強いとはいえ、大阪市のように規模の大きい自治体が市内を「全面禁煙」にするのは初の試みだ。
市では2007年に市路上喫煙防止条例を制定。御堂筋沿いで路上喫煙禁止区域をスタート。その後、段階的に対象エリアを増やしてきたが、喫煙禁止と可能な区域の境目がわかりにくいという指摘は絶えなかった。そうした背景のなかで2022年4月に当時の松井一郎市長が「市内全面禁煙」の方針を示したのだ。
市内の路上を全面禁煙にするのであれば、喫煙所の設置が急務になる。 “喫煙者を締め出すと、かえって路上にポイ捨てが増える”という事例は枚挙にいとまがないためだ。さらに喫煙所の「数」も検討しなくてはならない。
市は、喫煙所の数について「120カ所あれば必要数を満たす」との見解を示しているが、その数の根拠や整備状況について、大阪市環境局に話を聞いた。
「大阪市の昼間人口は308万7000人です。そのうち健康増進計画『すこやか大阪21計画』より喫煙者数を算出すると63万人 。また、市が喫煙者を対象に “よく喫煙する場所”を調査したところ、『路上』『公園・広場』と選択した割合は21.4%でした。
つまり、喫煙所がない場所で吸っている人たちは63万人のうち約2割=13万5000人ということになります」(大阪市環境局、以下同)
市が「数」を算出する基準としたのは、2022年8月31日に1400万円かけて設置した堂島公園内の閉鎖型喫煙所(約13平方メートル)だという。公園内というものの、設置されているのは川沿いで周囲には何も無いエリアである。
「喫煙所の設置に必要な面積は、喫煙者一人当たりにつき1.2平方メートルを目安としています。市の調査結果から平均喫煙時間を4分、1日に2回利用した場合、11人の定員なら1日14時間稼働の計算で述べ2310人が利用可能。算出した、“喫煙所がない状態で吸っている人たち”の数である13万5000人×2(回)÷2310=116.8ということで、120カ所があれば足りるという計算です。この数を2025年1月までに設置することを目標にしています」