コスプレ姿で『タッチ』を熱唱した松野明美氏(2024年4月)
「貸しましたよ。もちろん」
さらに国会議員の資産公開の問題も浮上する。
国会議員資産公開法では、所有する不動産や預貯金、貸付金、借入金等を記載した資産等報告書を提出しなければならない。
A氏の証言によると、中条氏個人から1000万円を借り入れたのは中条氏が参院議員に当選する前年の2021年で、現在も元本の返済は全く行なわれていない。
ところが、中条氏の資産等報告書では、貸付金は「0円」とされていた。
A氏は、「中条さんからは返済を催促されていたが、(X氏との)裁判で今年はじめに中条さんからの借入金も含めた負債リストを提出してからは、一切、中条さんから連絡が来なくなりました」と語る。
中条氏を自宅で直撃した。
──A氏との金銭トラブルについて。
「刑務所に入っていた人間の話ですからね」
──A氏にお金を貸したのか。
「貸しましたよ。もちろん」
──返済されていない?
「そうです。弁護士に話をしています」
──金利は60%だった。
「弁護士に話していますので」
──資産等報告書に貸付金が載っていない。
「だから弁護士に話をしてください」
中条氏の弁護士に聞いたが、「当事務所は、(中条氏から)『知人に貸し付けを行ったものの、これまで一切の返済がなされていないため、法的申立てをお願いしたい』との依頼を受任し、申立ての代理をいたしました。それ以外の事実関係を凡そ承知しておりません」との趣旨の書面回答だった。
そのため、金利や複数人への貸し付けなどの事実関係、出資法違反にあたる疑いなどについて中条事務所に質問したが、締め切りまでに回答がなかった。
本誌直撃後、中条氏は5月1日、報告書を訂正、貸付金を「1000万円」に改めた。
また、X氏に話を聞くと、「貸したお金が返済されないから訴訟を起こしたのは事実です。A氏は、複数人に対して合計1億円以上の投資を持ちかけており、現在被害者が増えています」と語った。
複雑な金銭トラブルに発展していることがうかがえる。中条氏にすれば、貸した金が返済されていないのだから、“自分は被害者”と言いたいのかもしれないが、問題は貸し付けそのものが国会議員にあるまじき行為ではないかという点である。説明責任を果たすべきだ。
※週刊ポスト2024年5月17・24日号
【訂正:2024年5月9日 15:40】
記事中で中条きよし事務所から「締め切りまでに回答がなかった」と記述しましたが、同事務所から締め切り以前にFAXにて回答がありましたので訂正します。同事務所からの回答内容は以下の通りです。
「A氏(原文では実名、以下同)に、1000万円を貸したのは事実です。当時、身重の奥さんと二人の子供もいて、A氏より懇願されてお貸ししました。ご指摘のような、利息については一切約束していません。そもそも全く返済されていませんので、ご質問にあるような内容は事実無根です。当初約束の返済期限に返済が困難との事で、途中で期限を1年延長しましたが、その後も一切の返済がない為、弁護士に相談するに至りました。」