自民党は「票とカネ」を支える団体へこんなにバラ撒いていた
「前年度を上回る」を連発
自民党組織運動本部団体総局が3月に作成した〈令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】〉と題するA4判31ページの文書だ。
全国1000社以上が加盟する団体の事務局幹部が語る。
「自民党は300以上の業界団体を建設、農林水産、厚生、宗教関係など15分野に分類し、分野別に都内のホテルで総理や幹事長らが出席する『各種団体協議会懇談会』という陳情会を開いている。そこで各団体の代表が予算や補助金、税制特別措置の要望書を手渡し、予算概算要求の前や年末の税制改正の前には役所や議員会館に陳情攻勢をかけるわけです。
そして自民党議員たちは新年度の前に、各団体に『あなたがたの要求をこれだけ実現した』と成果をアピールする。資料はそのためのものです。われわれ団体側は見返りに献金やパーティー券を引き受け、選挙になれば名簿を提供し、総理など党幹部の遊説には各団体から応援の人出を動員し、人も票もカネも出すわけです」
文書は自民党の「票とカネ」を根幹で支える業界へのバラ撒きを示すものだ。
内容を個別に見ていくと、日本医師会などは診療報酬引き上げ、建設コンサルタンツ協会は公共事業費の確保など、各団体が予算や補助金の増額、業界への税制優遇を求める要求のオンパレードで、ほぼ“満額回答”だ(リスト参照)。
「資料を見れば、岸田首相が今年を“総選挙イヤー”にする見通しを持っていたことがよくわかる。資料の中の『自民党の回答』欄には『前年度を上回る』という文言が連発され、今年は特に幅広い業界に例年以上の補助金を計上、税制優遇の措置が取られている」(同前)
古くからの自民党支持団体として知られる日本行政書士会連合会は、「マイナンバーカード交付事務費補助金の確保」を要望し、自治体に約743億円の補助金が出た。なぜ行政書士会がマイナ普及を求めるかというと、自治体は地元の行政書士会にマイナカードの申請サポートや代理交付の業務委託を行なっており、行政書士には申請1件2000円、代理交付の受け取りも1件2000円が入る。その予算は国が自治体に出す補助金で賄われており、行政書士のビジネスに直結するのだ。