杉は始めて鹿屋航空基地を訪問した。
◆どうして家でスーツを着たままごはんを食べるの?
奉仕活動に人生を捧げる覚悟を、決めている。
「結婚した時にね、“どうして仕事が終わったのに家でスーツを着たままごはんを食べているの?”と 女房(伍代夏子)に聞かれたんです。だから、“いつ何が起きても、すぐ飛び出せるように備えている”と、答えました。一刻を争う時にパジャマから着替えていたら時間のロスだと。常日頃から有事に備えているんです」
聴衆に語りかけながら、杉は、この日着用していた官服に触れた。
「これは法務省の特別矯正監のもの。三つ星の桜花章が4つついている。15才で刑務所の慰問を始めて65年、地道に活動をしていたら四つ星の永久委嘱になりました。警察庁特別防犯対策監としては、47都道府県の警察本部をすべて巡り、今は所轄署を訪れ、現場の警察官と意見交換をしています」
そう明かし、警察庁特別防犯対策監として取り組む特殊詐欺に喚起を促した。
「特殊詐欺被害は全国的に増えていて、最近は『投資詐欺』や『ロマンス詐欺』が多い。儲かるという話には人間、目がないからね。でも冷静に考えてみてほしい。他人に儲け話をしますか?
田舎に行くほどオレオレ詐欺の被害は広がっています。これは防犯機能付き電話で未然に防ぐことができる。自治体に申し込めば無料で提供してくれます。それなのになぜ対策をしないのか。皆さんもご家族や友人、知人によく言ってあげてください。自分は大丈夫だと思っている人ほど危ないんです」
杉には、厚生労働省健康行政特別参与としての大きな役割もある。
「厚労省では、『知って、肝炎プロジェクト』に取り組んできました。肝炎を放置すると肝硬変になり、その先に肝がんが待っている。そうならないために必ず、肝炎ウイルス検査を受けてください。私の周りでも最近、がんになる人が多いんです。
どうか皆さん、病院へ行ったら『私は年を重ねて、がんの1つや2つあってもおかしくない。そう思って検査してください』と、伝えてください」
地震など、一刻を争う有事の際に人々の命を救うため、自衛隊はその力を発揮する。それは杉が志す、平和への道に通じている。「自衛隊での日々の訓練、想いに平和が支えられている。国を護る大事な使命を背負っている皆さんですが、どうか健康に気をつけて、自分や家族の身も守ってください」と、結んだ。