国内

《「すみません」と唱え続けて55年》杉良太郎が海上自衛隊鹿屋航空基地を初訪問「平和維持のために全力を尽くさなければいけない」

杉の言葉が聴衆の胸に響く。

杉の言葉が聴衆の胸に響く。

 太平洋戦争下、日本で最も多くの特攻隊が出撃した地・鹿児島県鹿屋市。戦時中には3つの海軍基地があり、特攻作戦の中心を担った鹿屋基地からは908名の特攻隊員がその尊い命を賭して、飛び立った。市内には今も数々の戦跡や隊員たちを祀る慰霊碑などが残され、海上自衛隊の鹿屋航空基地がある。

 5月15日、その鹿屋航空基地を訪れたのは歌手で俳優の杉良太郎。警察庁の特殊詐欺撲滅運動と厚生労働省で展開する健康行政活動の一環として、初めて鹿屋の地を踏みしめると、「やっと……ようやっと来ることができました」と、積年の想いをかみしめるように呟いた。杉が過ぎ去った時間に想いを馳せるのには、理由がある。

 1970年に鹿屋基地を舞台とした日活映画『花の特攻隊 あゝ戦友よ』に主演。愛する母や恋人に別れを告げて任務を全うせんとする主人公・浜村真吉を演じ、真吉はこの地から大空へと飛び立ち、命を散らした。当時、杉は25才だった。

「55年前、私は映画の中でここから最期の出撃を果たしたわけです。爆弾として敵へ突撃する『人間爆弾』です。役作りで読んだ特攻隊員の遺書が響き、お芝居として何かを演じるという域を超えた感覚でした。そうした歴史を持つ鹿屋や知覧を見ずして鹿児島は語れない――この地にはずっと、特別な思いがあった」(杉、以下同)

 杉は忸怩の念を語った。

「ですが、なかなか実際に訪れることがなかった。“すみません”と長いこと心の中で唱えてきました。ようやく来たという想い、なんでここまで55年もかかったんだという想い、その両方が渦巻いています」

 鹿屋航空基地では、海上自衛隊の最新鋭哨戒機「P-1」を見学。管制塔などを巡り、東シナ海など日本近海の警戒監視に当たる任務について説明を受けた。

「かつて、青年たちを乗せた特攻機は錦江湾(鹿児島湾)へ向けて飛んで行ったと、うかがいました。その方角の空へ視線を送ったら、自分が特攻隊員として出撃して鹿屋へ舞い戻ってきたような、そんな気持ちになりました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト