スポーツ

日本人として初めて「サッカーW杯開幕戦の主審」を務めた西村雄一氏が語るプロ審判員の矜持「選手の夢を支えたい」「満足した試合は一度もない」

2014年サッカーW杯ブラジル大会開幕戦の主審・副審は日本人審判団が務めた。中央右から相楽亨副審、西村雄一主審、(1人置いて)名木利幸副審(時事通信フォト)

2014年サッカーW杯ブラジル大会開幕戦の主審・副審は日本人審判団が務めた。中央右から相楽亨副審、西村雄一主審、(1人置いて)名木利幸副審(時事通信フォト)

 2026 FIFA W杯アジア2次予選のミャンマー(6日)、シリア(11日)との2連戦を控え、日本代表チームの動向が連日報じられている。1998年のフランス大会出場以来、連続出場を続ける日本だが、W杯本大会を目指すのは選手だけではない。2024年6月1日現在、JFA(日本サッカー協会)所属の「国際審判員」は男女合わせて24人。彼らのなかからW杯の主審や副審を務める人が出てくるかもしれない。世界の一流選手同士が戦うピッチ上で笛を吹く審判とは、どんな存在なのか。2014年のW杯ブラジル大会で日本人として初めてW杯開幕戦の主審を務めた西村雄一氏に、『審判はつらいよ』の著者・鵜飼克郎氏が聞いた。(全7回の第1回。文中敬称略)

 * * *
 サッカーの世界最高峰の大会とされるFIFA W杯。西村雄一は2014年ブラジル大会で、日本人として初めて開幕戦(ブラジル対クロアチア)の主審としてピッチに立った。

 2010年の南アフリカ大会では4試合で主審を務め、その的確なジャッジは世界各国の選手やメディアから多くの賞賛を集めた。国際審判員を42歳(当時の国際審判員の定年は45歳)で退任し、現在は日本で副審を含めて19人(2024年1月時点)しかいない「プロフェッショナルレフェリー」としてJリーグで笛を吹いている。

「小学校の4年生から駒沢サッカークラブでサッカーを始め、高校生になってからはコーチングスタッフとして少年たちに教えていたのですが、審判のミスジャッジで子供たちが力を発揮できなかった場面に何度か遭遇したんです。

 これは困ったことだと思いました。選手の活躍の場としてスポーツがあり、それを支える側としてコーチや審判がいます。私は審判として選手たちの夢を支えたいと考えるようになりました」

 日本サッカー協会(JFA)、あるいはその傘下にある団体が主催する試合の審判を務めるには、日本サッカー協会が定める審判員の資格を取得する必要がある。資格は1級から4級まであり、4級から順に昇級していくシステムになっている。

「4級審判の資格を取得したのは18歳、都立新宿高校在学中でした。4級は各都道府県のサッカー協会や地区連盟が年に数回開催する講習会を受講することで取得でき、都道府県サッカー協会や地区連盟が主催する試合で審判を担当できます。

 日本工学院専門学校を卒業した後に株式会社ボナファイド(OA機器等の販売会社)に就職し、毎週末、どこかで審判をしていました」

関連記事

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン