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【青森密閉殺人】“交通単独事故”で去年も十枝内運輸の社員が一人死んでいた 殺人容疑で逮捕の容疑者と借金トラブル 娘は「事故ではなかったのではないか」と訴え 青森県警も関係者再聴取か

十枝内容疑者(左)のもとで働いていた田中健一さん

十枝内容疑者(左)のもとで働いていた田中健一さん(右)

 2023年のゴールデンウィーク最終日の早朝。青森県七戸町では前夜から雨が降り続いていた。住宅地から離れた町道で、車道から外れて一台の高級乗用車が転覆しているのを通行人が見つけた。車体は激しく損壊し、屋根が地面と接しタイヤが上にある状態でひどい事故だったことが伺える。乗っていた運送会社「十枝内運輸」社員、田中健一さん(当時50)は胸などを強く打っており、搬送先の病院で死亡が確認された。悲惨な事故は、地元テレビ局にニュースとして取り上げられ、現場の状況から青森県警は単独事故として処理をした。

 それから約1年を経た今年4月1日、同じく七戸町の深さ約6メートル土中から、プラスチック製の容器に詰め込まれた元「十枝内運輸」の社員でトラック運転手の谷名幸児さん(54)の遺体が見つかった。遺体は成人男性がかろうじて入るほどの大きさの容器に入れられており、谷名さんは自宅から連れ出されて暴行を受けた後に窒息死させられた可能性がある。青森県警は主犯とされる「十枝内運輸」社長の十枝内伸一郎容疑者(47)らを加害目的略取、監禁、死体遺棄、殺人容疑で捜査を進めている。【前後編の前編】

 谷名さんの殺害事件は、計画されたものだった。1月7日、十枝内容疑者は共犯者の協力を得て、トラブルが続いていた谷名さんを連れ去った。暴行を加えた上、複数人で両手足を結束バンドで縛って動けなくし、高さ約1メートル、直径約50センチメートルの円筒型の容器に谷名さんを押し込めて、中から出られないようにダンプのタイヤを上に置いて蓋をした。そのまま数日間放置し、その後、別の場所に移して土中に埋めていたのだ。

 NEWSポストセブンは、谷名さんの息子Aさんや連れ去りに協力した女性被告と親しいBさん、十枝内容疑者と谷名さんの双方をよく知るCさんら関係者への取材を続けた。取材を進めていくと、同町に住む20代の女性D子さんに行き着いた。冒頭の“単独事故”で死亡した田中健一さんの娘だ。

「家族思いで優しい父でした。私が子どもの頃、学校行事には休みをとって来てくれました。誕生日とかも大事にしてくれましたし、給料日になったら家族みんなを外食に連れて行ってくれました。私の学校の友達が来たときにはバーベキューをしてくれたことも印象的です。率先して私たちにお肉を焼いてくれました。孫にも優しくて、いつも自分の携帯で写真を撮っていました。

 十枝内運輸では15年ほど働いていたのですが、父は昨年5月6日に突然、亡くなりました。警察は飲酒運転による単独の交通事故と処理しました」

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