女優の大路恵美さん
1993年に放送され、フジテレビ歴代最高視聴率37.8%を記録した“月9”ドラマ『ひとつ屋根の下』。事故で両親を亡くしバラバラに育った兄弟6人が、“あんちゃん(長男)”の呼びかけで一緒に暮らし始めるストーリーと、江口洋介(57)や福山雅治(56)、酒井法子(54)といった豪華キャストで、多くの視聴者を泣き笑いさせた。
今年、パート2がフジテレビの配信サービス「FOD」のラインナップに加わり、初めて本作を視聴した人も多いのではないか。同作で次女・小梅役を演じた大路恵美さん(50)が伝説のドラマを振り返った。【前後編の前編】
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芸能人オーラがすごかったのは…
パート1が放送されたのはもう30年以上前なので、30代以下の人は『ひとつ屋根の下』を見たことがない人、私のことを知らない人も多いと思うのですが、春にパート2が配信されたのを機に見てくれて、私のSNSにメッセージをくれた人もいました。地上波放送がなかなかかなわないなか、ありがたいことですし、30年の時を超えて楽しんでいただけるのは不思議な感じもします。
パート1が放送されたとき、私は小梅と同じ17歳。高校2年生でした。中学3年のときスカウトされ兵庫・加古川から出てきて、芸能活動を始めたばかり。すでにドラマには何本か出ていましたが“月9”ドラマは特別。レギュラーが決まったときは嬉しいのと同時に、とても緊張しました。オーディションではなく、マネージャーさんの売り込みで、制作側の方からお声がけいただきました。
じつはその前に『ひとつ屋根の下』と同じ脚本家・野島伸司さん(62)の『高校教師』(TBS 系)のオーディションを受けたりもしていたので、野島さんの記憶にもあったとは後にうかがいました。年上の兄弟から順に配役が決まったと聞いているので江口さんや三男役のいしだ壱成くん(50)と“兄弟に見える顔”が決め手になったそうです。
顔合わせで初めて江口さんらとお会いしたときは、「わ、芸能人だ!」と思いました(笑)。“チイ兄ちゃん(福山雅治)”も酒井さんも色が真っ白で! 酒井さんは部屋に入ってきた瞬間から芸能人オーラがすごかった。私や壱成くんとのキャリアに落差があったぶん、江口さん、福山さん、酒井さんの兄弟の上3人は、私たちに気を遣って積極的に話しかけて仲良くしてくれました。だからこそ、ドラマの中で私たちがちゃんと兄弟に見えたんじゃないかと思います。
兄弟でワチャワチャ揉めるシーンが結構ありましたが、みんな、セリフはちゃんとシナリオ通り、演出家の指導のままに演じていました。ケンカのシーンのワチャワチャの最後はアドリブもありましたが(笑)。
シナリオは最初からすべて固まっていたわけではなく、撮影しながら順々に出来上がっていったので、私は撮影期間中、高校への行き帰りの電車のなかで読んだことも。本当に引き込まれる素晴らしい台本で、読みながらつい泣いたり笑ったり。台本だとわからないようにノートで隠しながら読んでいたので、周りの人は「何でこの子ノート読みながら泣いてるの?」「気持ち悪い!」と思ったかもしれません(笑)。
私が演じた小梅は、終盤で見知らぬ男性から暴力を受けるという衝撃的なシーンがあります。そういうシーンがあることは最初から聞いていましたが、ドラマの小梅はもちろん知りません。だから、いざそのシーンが近づいてくると私は緊張して暗く、動揺してくるんですけど、小梅は寸前まで知らないので自然に明るく演じなければいけない。当時は演技の経験がまだ浅く、役と自分がクロスする部分も多いので、そこが一番難しかったです。
ドラマの反響が大きかったので多くの方に注目していただき、学校からの帰りに後ろからついてこられたり、当時住んでいた部屋の郵便ポストに「応援してます!」と手紙が入っていたりしたこともありました。でも、大半の方は遠くから冷やかすくらい。毎朝、登校時、男子生徒の集団とすれ違うんですけど、いつも「小梅~」って声をかけられるんです。なぜか福山さんの声マネで。この場合、私はどう反応したらいいのか、悩んでいました。「○点!」って点数をつけてあげるのが、正解だったんですかね(笑)。
