石丸氏は3つの柱の政策を説明する際、手のひらを返して3本の指を掲げるのが決めポーズになっている(撮影:小川裕夫)

石丸氏は3つの柱の政策を説明する際、手のひらを返して3本の指を掲げるのが決めポーズになっている(撮影:小川裕夫)

 筆者は告示前と後、石丸の街頭演説を何度も取材した。石丸の演説では、3本の柱となる政策を掲げ、それら3本柱を簡単に説明するだけで演説は終わる。深い話まではしない。

 また、政党の支援を受けていない候補者ゆえに、国会議員などが応援弁士として立つことはない。だから、街頭演説は15分程度の短時間で終了する。

 筆者のような各候補者の街頭演説をハシゴする奇特な人間は、短時間で終わる街頭演説を物足りなく感じてしまうが、炎天下の東京では長々と街頭演説を聞くのは体力・精神力的にシンドい。石丸の、ある意味で“内容が薄い”演説は酷暑の都知事選に適っていたスタイルともいえる。

 街頭演説の回数が多ければ、午前中にSNSで話題になった候補者を、午後に別の場所へ見に行くことも可能になる。たとえば投開票日を翌日に控えた7月6日をみると、告知があった街頭演説は石丸が8か所、蓮舫が3か所、小池は2か所だった。候補者で回数に歴然とした差がある。こんなに回数に差があるのか、と驚く人もいるのではないだろうか。

 石丸陣営がSNSを駆使していることは事実だが、選挙戦術としては「一人でも多くの有権者と接する」という自民党が旧来から実践してきた手法を模倣し、徹底したに過ぎない。石丸の選挙戦術は、言うならば「ネットで広めて、リアルで固める」というシンプルな戦い方だった。

石丸陣営の伝統的な選挙戦術を仕切った“中の人”たち

 ネットで広めつつ、古くからの選挙戦術で票を固める。シンプルとは言っても、それを実践することは容易ではない。1日に10か所も街頭演説で回るには緻密な計算と選挙を熟知した経験を持つ専門のスタッフが必要になる。また、現場を仕切るためのマンパワーも必要で、それはボランティアに頼らざるを得ないが、ボランティアを差配することも一朝一夕にはできない。となれば、石丸陣営の選挙を取り仕切っていたのは誰なのかが気になるところだろう。

 まず、資金的な支援をしてきたのはドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏だ。安倍晋三元首相とも昵懇の仲だった鳥羽氏は、YouTubeで石丸を見たことをきっかけにして、政治活動を経済的に支援するようになった。しかし、鳥羽氏はあくまでも経済的な支援であり、選挙を取り仕切るノウハウは有していない。選挙という特殊な戦いについては、別のプロフェッショナルたちの姿があった。

 石丸の街頭演説に足を運ぶと、藤川晋之助氏小田全宏氏といった選挙対策本部の要人、いわゆる中の人がマイクを握って演説をすることがある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン