小学校低学年の頃、父の一男さん、母の千嘉子さんと。「父とは逆で、母はとにかく厳しい人でした。褒められたのは、本当に一度だけ。お米を研いだら『かしぐ(研ぐ)の、上手いの』と」(津田さん)

小学校低学年の頃、父の一男さん、母の千嘉子さんと。「父とは逆で、母はとにかく厳しい人でした。褒められたのは、本当に一度だけ。お米を研いだら『かしぐ(研ぐ)の、上手いの』と」(津田さん)

衝撃が走った思い出のおろしそば

 ある日、ざるそばをさっと平らげて、ソースカツもなくなったので、おろしそばを食べる父を眺めていました。すると「一口食べてみるけ?」と、目の前に出されて。

 じつは幼い頃、ぼくは料理の味には興味がなく、ギミック(仕掛け)だけで注文をしていました。ざるそばは、持ち上げたそばにちょっとだけ汁をつけるとか、箸を深く下ろすとか、いろいろ遊べるでしょ(笑い)。あと、ソースカツ丼についてくるしじみのみそ汁も母からもらって。ちっちゃい殻から身を外すのが、面白いんです。

 だから、単調にすするだけのおろしそばは眼中にもなかったのですが、口に入れた瞬間、衝撃が走りました。辛味大根の刺激がバンッときて、すぐ後にそばの香りとねぎとかつおぶしのハーモニー。一口どころか夢中になってすすり、父の分を完食してしまいました。

 驚いた様子の父が「辛ろうないんか」と言い、「ひっで(すごく)うまいわ」と答えて、皆で笑いあったのをよく覚えています。それ以来、ぼくはそばといったら、おろしそば一択です。

 いまね、こんな思い出話も父とできたらうれしいのですが、反抗期だった中学2年のときに、突然逝ってしまいました。胃潰瘍の検査で入院したはずが、実際にはスキルス性の胃がんで、あっという間の出来事でした。だから、スクリーンに映る姿も見せられなかったのですが、映画が好きな人だったので、きっと喜んでくれているはずです。

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン