国際情報

《トランプ暗殺未遂事件》星条旗を背に拳をあげた「奇跡の一枚」で思い起こされる2つの歴史的写真ともう1つの奇跡的なポイント

銃撃事件直後のトランプ前大統領(写真:AP/アフロ)

銃撃事件直後のトランプ前大統領(写真:AP/アフロ)

 被写体を想定以上に魅力的に撮った写真を「奇跡の一枚」と呼ぶ習慣がSNSで広まって久しい。たとえば、ファンが撮影したアイドルのライブでの様子が「奇跡の一枚」として拡散され、ブレイクのきっかけになることもある。ドナルド・トランプ前米大統領が演説中に銃撃されて負傷した事件で撮影された一枚の写真も、衝撃の強さをあらわした奇跡の一枚として大きな話題となっている。臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、なぜあの一枚が奇跡の一枚として受け止められているのかについて分析する。

 * * *
 7月13日、米東部ペンシルベニア州で起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件、その銃撃後の様子を収めた奇跡の一枚が世界中で話題になっている。完璧な構図とまでいわれるその写真には、真っ青な空の下にはためく星条旗を背景に、避難させようとする複数のシークレットサービスが身体に組み付く中、右耳から流れる血を気にすることもなく、右手の拳を突き上げ、何かを叫んでいるトランプ氏が映っていた。撮影者は米AP通信のエヴァン・ヴッチ氏だ。

 トランプ支持者にはもちろんのこと、政権奪還を狙う共和党員にとっても大統領選に大きく影響を与えるだろう一枚の写真。死んでいてもおかしくない状況で助かったトランプ氏は、流れる血を拭うことなく拳を何度も突き上げ、暴力に屈しない強いリーダー像を見せつけた。危機において、どれだけ強いリーダーシップを発揮できるのか、国の指導者たるものにこの資質は欠かせない。9.11のテロ事件が起きた米国でリーダーシップを見せたジョージ・ブッシュ大統領。ロシアがウクライナに侵攻してきた時、国民に団結を呼びかけたゼレンスキー大統領。当時、国民からの支持率は急上昇したのだ。

 だがそれだけではない。この写真がなぜ世界中の人々に強いインパクトを与えるのは、誰もが見たことがあるだろう2枚の映像のイメージと重なるからだ。

 ネット上でも話題になったが、1枚はフランスの画家ドラクロアが描いた「民衆を導く自由の女神」(1830年製作)。フランス7月革命を題材にしたこの絵は、自由の女神が右手に持ったフランス国旗を高く掲げ、倒れる人々や武器を持った人々を鼓舞するように導いている様子が描かれている。強いリーダーのもと革命を起こそうという気迫に満ちた一枚だが、これが奇跡の一枚が人々に与える印象とよく似ているのである。現政権を倒し、政権奪回を狙うトランプ氏や共和党にとって”革命”をイメージさせるに十分だ。

関連記事

トピックス

前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト