120分に及ぶ“推しメン対談”
忖度なし、ブレなしが2人の共通点
安冨:大丈夫。そうやってハッキリ考えを言えるのが秋吉さんの魅力だと思っていますから(笑い)。でも、忖度が横行するいまのテレビ業界だと、余計なことを言ったら出られなくなりそうなのに、秋吉さんはずっと活躍されている。どうしてなのでしょうか。
秋吉:確かにいまのテレビ業界は無難さに偏っていますよね。私だって、言ってはいけないことだけ事前に聞いておいて、それ以外のことを言っていますから。
安冨:かつても生意気だとか、シラケ世代の代表みたいに言われて、きつい思いをされたのでは?
秋吉:それも間違いではありませんから(笑い)。
安冨:でもそれって正直で、媚びへつらわないからだと思うんです。そんな秋吉さんのお人柄は、作品からも感じられましたよ。たとえば、1977年の大河ドラマ『花神』(NHK)の“おうの”役はインパクトがありましたね。高杉晋作の愛妾で、本来はそれほど存在感のある役ではないはずなのに、秋吉さんが演じると妙に記憶に残るんですよ。
秋吉:ありがとうございます。確かに、おうのは“いとをかし”(趣がある)な人でしたね。自由で無邪気で……。そう思えない役の方が演じるのが難しいんですよ。その点、おうのは演じていて気持ちがよかったですね。
安冨:1981年から始まった『夢千代日記』シリーズ(NHK)の芸者“金魚”役も素晴らしかった。
秋吉:「素晴らしかった」って(笑い)。語彙力のある先生が、私のことを表現しようとすると途端にボキャブラリーが乏しくなっちゃうんですね(笑い)。
安冨:『夢千代日記』は、高校生の私には神聖な世界でした。そこに出ておられた俳優さんたちは皆、私には“神々”に見えたのです。その中心的なかたが、ここに降臨されたのですから、言葉を失います。