芸能

【“私の推しメン”対談】秋吉久美子×安冨歩・東大名誉教授 「ハッキリ考えを言えるのが秋吉さんの魅力」作品にもにじみ出るその人柄

お互いの著書にサインし、贈りあう。「安冨先生の著書『複雑さを生きる やわらかな制御』は手に入りにくいからうれしい!」とご満悦の秋吉。

女優・秋吉久美子の推しメンは安冨歩さん

 いまや空前の“推し活”ブーム。この潮流は、通常なら推される側である著名人にも波及しており、女優・秋吉久美子にもいま、推してやまない御仁がいるという。それが、東京大学名誉教授で経済学者の安冨歩さんだ。

「毎晩、安冨先生のYouTubeを見ないと寝られないくらいなんですよ」と語るほどの熱中ぶりを聞いた女性セブン編集部は、安冨さんが暮らす大分県の山中に、秋吉を連れ出した。120分に及ぶ“私の推しメン対談”をお届けする。【全3回の第3回。第1回を読む】

大切なのは子供を守ること

秋吉:先生の著書はたくさん読ませていただきましたが、中でも興味深かったのが『誰が星の王子さまを殺したのか─モラル・ハラスメントの罠』(明石書店)です。その中で、体罰などを加えられながら厳しく育てられた子供は、暴力的な大人になり、そんな大人が支配すれば暴力に満ちた世界になると。それは、第二次世界大戦下のドイツがいい例だとありました。

 だからこそ大人は子供を守らないといけない、と先生は考えているんですよね。それで実際にいま、お子さんを自由に育てていらっしゃる。

安冨:ええ、私のように親の支配下にあった子供は、親に認められたいがために、いつしか親の欲望こそが自分の欲望だと勘違いしてしまいます。そして、本当に自分の求めるものがわからなくなってしまうのです。それである日突然非行に走ったり、リストカットをしたりする。周りの大人は驚きますが、それはおかしなことでも何でもない。親の支配から逃れるための命がけの自己表現なんです。

 私は離婚によって、母親とも縁が切れ、それで自分の人生を見直せました。すると、いままで正しいと思ってきたことが間違っていて、わがままだと思っていたことが、実は正しいことだと気づけました。わがままだと思って封じていたことこそ自分のやりたいことだったと気づいたんです。私にはいま、2人の幼い子がいますが、彼らを支配するような親にはなるまいと思いつつ見守っています。

秋吉:でも、思うんですけどね。先生はご自分が直面した問題を研究テーマにして、地に足をつけて学問と向き合っていらっしゃる。それは、お母さまたちからモラハラを受けた経験があったからなのでは? 先生に大きな気づきを与えたのだとしたら、モラハラも無駄ではなかったのではないかと──。

安冨:私は、母親というショッカーに改造人間にされた仮面ライダーみたいなものです。できることなら、改造されることなくそのままの私でいたかった……。

秋吉:決して上から目線で言うわけではないんですけど、たとえば私は、50代を初期中年、60代を中期中年、70代を後期中年と呼び、80代からは老人、100才になったら仙人と区分けしているのですが、そう考えると、私はそろそろ後期中年。物事を起承転結のうちの「結」で見ようとするお年頃だから、安冨先生のケースも、モラハラを経験したからこそ、それが探究のエネルギーになっているんじゃないかと考えてしまうんです。

 だって人間には、悲しみや苦しみをエネルギーに変える力があると思うから。余計なことを言っちゃったらごめんなさいね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
政治資金の使途について藤田文武共同代表はどう答えるか(時事通信)
《政治資金で使われた赤坂キャバクラは新規60分4000円》維新・奥下議員が訪れたリーズナブルなキャバの店内は…? 「モダンな内装に個室もなく…」 コロナ5類引き下げ前のタイミング
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
神奈川県藤沢市宮原地区にモスクが建設されることが判明した(左の写真はサンプルです)
《イスラム教モスク建設で大騒動》荒れる神奈川県藤沢市 SNSでは「土葬もされる」と虚偽情報も拡散 市議会には多くの反対陳情が
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン