仏壇には今も節子さんが好きだった白い百合の花が飾られている
「本人が嫌がってるからヘルパーや外部に頼るのをやめたというのは、優しさじゃないね。やっぱり古い考えだった。嫌がっても、2回目も心療内科の先生に来てもらっていればよかった。俺が引っ張っていくぐらいの、その強さがなかったんだ……」
“老老介護”の現場では、高齢者が他人の手を借りることを「恥」と考え、自分たちですべてを抱え込み、取り返しのつかない事態になることがしばしばある。吉田さんもまさに、「家庭の問題は家庭内で解決する」ということに固執してしまったようだ。
吉田さんと節子さんは、周囲に助けを求めることができずに、いよいよ“運命の日”を迎えることになる──。
(第3回に続く)