ライフ

HIFU健康被害で女性がエステを訴える、美容施術の熱で傷跡、厚労省は無資格HIFUを違法と6月通知、今後訴訟に発展するケースが増加する可能性も

現役高校生が気になる美容第1位は「脱毛」だった(イメージ)

HIFUで健康被害が相次いでいる(イメージ)

 HIFU(高密度焦点式超音波治療、ハイフ)は健康被害が相次いでおり、国民生活センターなどへの相談が増加している中、訴訟に発展するケースが出てきた。2024年8月8日に、20代女性がエステ会社に賠償金を求めて訴えたことが報道されている。

 ハイフによる重大な健康被害が明らかになっており、今後同様の訴訟が増加する可能性も考えられる。

ハイフのトラブル相次ぐ中、訴訟に発展

 NHKなどの報道によると、エステで医師資格を持たない施術者によるハイフによりヤケドを負ったとして、20代の女性がエステ会社に賠償金約400万円を求めて提訴した。女性は太ももに施術を受けてヤケドを起こし、傷跡が残る健康被害を受けた。治療に2年ほどかかったというコメントが紹介され、健康被害が起きてから訴訟に至るまでに長い期間がかかったことがうかがえる。

 2023年に国の委員会がハイフによるトラブル増加についての報告書を出し、その後も厚労省の研究によりハイフによるヤケドのほか、神経障害、目の障害などが起きていることが判明している。

 これまでの報道で、法律事務所がハイフの健康被害についての電話相談を受け付け、多数の相談が寄せられていることが伝えられていた。法律事務所は、ハイフの健康被害を受けた人たちに対して、返金を含めた対応などの助言を行う。そうした中で、後遺症などの重大な問題がある際には、損害賠償請求をすることも視野に入れることになる。今回、訴訟に至る事例が出た形になる。

美容施術トラブルで訴訟も起きる時代

 従来、美容施術に関連した被害への対応としては、和解に向けた交渉が行われることが一般的だ。そうした動きの一つとして、国民生活センターが紛争解決委員会を通してトラブル解決に取り組んでいる。同委員会は間に入って美容施術に関連したトラブルの解決に当たっている。ヒフコNEWSで伝えているように経済被害や健康被害の和解に至るケースが報告されている。

 こうした和解のプロセスでも解決しないなどの理由から訴訟に至るケースも出てくる。最近では、PRP(多血小板血漿)にb-FGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を加えて肌のシワを改善させる施術でしこりが残ったというトラブルで訴訟に至ったケースが報道されている。男性専門医療脱毛ウルフクリニックが突然閉鎖したケースでは、返金されない利用者が集団訴訟を提起している。脱毛エステの突然閉鎖でも訴訟が起きている。

 継続的に美容施術をめぐってトラブルが増えていることが報じられる。今回訴訟に至ったのはエステでの被害だったが、美容クリニックでも健康被害は報告されている。そうした中で、法律事務所が美容医療被害情報を集める動きもある。被害者には死亡事例や重大な後遺症が残るケースもあり、今後、訴訟に発展するケースが増えていく可能性もある。

参考文献

”医師免許ない人から美容施術「HIFU」受け やけど”提訴

エステでのHIFUは法律違反、施術には医師免許が必要、医師の指示を受けた診療補助の看護師は問題なし、厚生労働省が健康被害の増加を受けて通知

PRP+b-FGFトラブルが訴訟に発展の報道も、契約や金銭面の問題にも注目、2023年のヒフコNEWS記事を振り返る(3)

男性専門医療脱毛「ウルフクリニック」閉鎖で被害拡大、アディーレ法律事務所が集団訴訟提起

突然閉鎖された大阪の脱毛エステ「ラドルチェ」のトラブル、一体何が?消費者支援機構関西が訴訟を提起

あなたの美容医療、大丈夫?大手弁護士事務所のベリーベスト法律事務所が被害情報収集を開始

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン