芸能

続く日テレ『with MUSIC』の試行錯誤、「若手男女グループ」+”何か”でオリジナリティ出すのが最適解? 有働由美子&松下洸平のMCを生かすキャスティングもカギ

(番組公式サイトより)

この春スタートした日本テレビの『with MUSIC』(番組公式サイトより)

 昨今、テレビ各局が力を入れているのが音楽番組だ。それぞれの番組が独自性を打ち出そうとしているが、この春スタートした日本テレビの『with MUSIC』は試行錯誤を続けている。その最適解とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 日本テレビのゴールデンタイムで放送される音楽番組は34年ぶりであり、視聴者の多い土曜20時台であることも含め、大きな期待を背負って今春にスタートした『with MUSIC』。

 音楽番組は2010年代にゴールデンタイム絶滅の危機にさらされるなど苦境にあえいでいましたが、地道に放送を続けてきた『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に加えて、『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS系)が若年層の人気を集めたことで息を吹き返しました。

 同じ今春には『ミュージックジェネレーション』(フジテレビ系)もスタートするなど、ひさびさに民放主要4局がゴールデンタイムでそろい踏みする中、『with MUSIC』は春からの約5か月間、「最も試行錯誤を続けている音楽番組」と言っていいでしょう。

 同番組のコンセプトは「MC・有働由美子とアーティストナビゲーター・松下洸平が豪華アーティストのルーツに触れるトークや最新ヒット曲などで掘り下げていく」。福山雅治さん、宇多田ヒカルさん、稲葉浩志さんなどの大物を招いたり、長めのトークパートを入れたり入れなかったり、生放送パートを入れてライブ感を高めたり、2時間特番でスケール感を出したり、さまざまなテーマの映像特集を組んだりなど、良くも悪くも「まだ番組の構成が固まっていない」という感があります。

 これらの試行錯誤にはどんな背景や狙いがあるのか。他の音楽番組と比べながら現状と今後を探っていきます。

大物で結果が得られるわけではない

 日本テレビは民放主要4局の中でも、最もスポンサー収入につながりやすいコア層(13~49歳)の個人視聴率は断トツであり、それを得るためのマーケティングが徹底されています。

 つまり、日本テレビはコア層の個人視聴率を獲得するために「自局はもちろん他局の番組も参考にして制作している」ということ。特にゴールデンタイムの音楽番組はひさびさだけに、前述した番組コンセプトを掲げながらも、数字が獲れなければ他局を参考にして柔軟に変えていくのでしょう。

 その点、宇多田ヒカルさんなどの大物ゲストや長めのトークパートは、他局にはない『with MUSIC』のオリジナルですが、現状あまり数字は獲れていないようです。「誰もが知っている大物アーティストを出したからといって数字が獲れるわけではない」のが音楽番組の難しいところでしょう。

 そこで参考になるのが、ライブ演出や生放送にこだわって若年層の支持を得ている『CDTV ライブ!ライブ!』。メインゲストのファンを集めた熱気あふれるライブ空間を作り上げたり、サブスクやMVとは異なるハイテンションのパフォーマンスを引き出したりなどの工夫で視聴者を引きつけています。

 ただ、そのコンセプトで放送を続けてスタッフの演出が洗練され、アーティストとの信頼関係が強固な『CDTV ライブ!ライブ!』と比べると、『with MUSIC』はまだまだ発展途上。SNSの書き込みを見ても「この番組でしか見聴きできないもの」というまでの印象には至っていないのかもしれません。

 また、これまで5回行った“2時間特番”という編成も、今春から放送時間を倍増させた同番組と同じですが、「『with MUSIC』はできれば土曜20時台の1時間番組として成功させたい」という思惑もあり、日本テレビとしては悩ましいところでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン