国内

【独走レポート】「山口組分裂抗争」10年目の重大局面へ 宅配業者を装ったヒットマン(63)の執念と幾重にもねじれた哀しき人生

六代目山口組弘道会稲葉地一家の幹部だった吉井誠容疑者

六代目山口組弘道会稲葉地一家の幹部だった吉井誠容疑者

 10年目に突入した分裂抗争は、六代目山口組と、離脱した神戸山口組、絆會、池田組という3団体との間でしばらく膠着状態が続いていた。そんななか、一気に均衡を破る事件が勃発した。フリーライターの鈴木智彦氏がリポートする。

 * * *
 9月9日午後3時27分頃、宮崎市田代町にある池田組・志龍会の事務所に訪問者があった。

 年配の男は宅配業者を名乗り、手に小さめの段ボール箱を持っていた。報道によると、作業着姿でIDカードのような身分証を首から提げていたらしい。事務所のドアが開き、留守番の幹部が箱を受け取ろうとした瞬間、男は持っていた拳銃を幹部の胸をめがけて発砲した。近隣の住民は複数回の発砲音を聞いている。司法解剖では2発の弾丸が被害者の左胸と臀部に命中していた。

 銃撃の衝撃なのか、撃たれた被害者はもちろん、ヒットマンも後方にはね飛ばされたように見えた。

 まるで見てきたかのように語れるのは、暴力団間のLINEで、防犯カメラの動画が回ったからだ。映像では上半身しか確認できず、ヒットマンが白いシャツを着ていることしか判別できない。

 銃口から被害者までの距離は30センチ程度で、強い殺意がうかがえる。

「銃撃後、犯人は現場から逃走せず、現場にとどまっていたらしい。志龍会本部付近で警戒中のパトカーが到着すると、両手を上げて自らパトカーに乗り込み、警察官に殺人未遂の現行犯逮捕されたようだ」(警察関係者)

 被害者は市内の病院に運ばれ、その後、死亡が確認された。

 ヒットマンの身柄はすぐに判明した。吉井誠容疑者(63)は、六代目山口組弘道会稲葉地一家の幹部だった。

 弘道会にとっては2023年4月、神戸市長田区のラーメン店で直参組長を射殺されており、報復を実行する必要があった。ラーメン店を営んでいた直系組長を殺したのは絆會の若頭だったが、絆會は友好団体である池田組からの資金提供と引き替えに請け負った可能性がある。

 ヤクザの報復にエビデンスはいらない。弘道会は池田組をターゲットに選び、直接銃口を向け、銃弾を撃ち込んだと考えられる。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン
東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト