やはり上がり3ハロンからの時計が参考になると思います。どの馬も前半は1ハロン15秒ぐらいで走り、追い出しの合図を受けてからの時計が速いか遅いかの違いがあります。坂路の場合、あくまで参考ですが2ハロンで25秒、上がり1ハロンを12.5秒程度が目安と言われています。フィニッシュして、なおかつ馬に余力があれば、新馬としてはかなりいい仕上がりと言えます。ウッドチップコースでの仕上げならば、時計はもう少し速くなり、上がり11秒台ということもあります(ただし、ここでの時計がよくなくても、本番になるとしっかり走ってしまう馬もいます)。
JRA-VANでは、調教VTRや時計を見ることができるので、綿密に予想をしたいという方はチェックしてみてはいかがでしょうか。ただし、その結果、的中率が上がるかどうかの保証はできませんが(笑)。
僕自身はレースに出てくる他の厩舎の時計をチェックするというより、勝った馬がどういう調教をしてきたのかということを気にしています。
(次回へ続く)
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー~2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2024年10月4日号