『ウバステ』巻末には「終活ノート」の抜粋版も
「やっぱりプロにお任せするのが大事」
そこで真梨さんは弁護士会が主催する法律相談に駆け込み、弁護士に状況を訴え、法律的に有効な遺言書を作成することにしたという。
「やっぱりプロにお任せするのは大事だなと思いました。いつ意識が無くなったり、判断力を失ったりするときが来るかもしれない。それでも猫たちは大丈夫、という状況を事前に作っておけるのはかなり安心です」
さらに「エンディングノート」の作成にも着手した。前述の通り、市販のものでは真梨さんの必要な情報はカバーできない。そこで、いくつもの「エンディングノート」を参考にし、オリジナルの「終活ノート」を完成させたのである。
「自分に不要な項目は削除し、必要な項目は足して、みっちり1週間くらいかけて作成しました。たいへんでしたけど、もうこれでいつ死んでも怖くないぞ! という気持ちです(笑)。遺言書ともども、1年に1回、見直すことにしています。自分自身のライフプランの振り返りにもなるし、これはいいなと思っています」
また、真梨さんは「イヤな思い出」も「終活ノート」に吐き出すことを提唱している。
「人生、いい思い出もあればイヤな思い出もありますよね。後悔していることや、許せないできごと……そういったものも、時間をかけて言語化することで納得したり、乗り越えられたりします。それこそが、自分の人生と向き合い、良いものにしていくということではないかと思うんです」
十人十色、必要な「終活」は人によってまったく違う。まずそれを知ることが納得いく最期を迎える第一歩なのかもしれない。
こうした終活の経験を活かし、「オリジナル終活ノート」の一部も収録した小説『ウバステ』を上梓した真梨さんから、エッセイを寄せてもらった。