名手・広岡達朗氏の跡を継いでショートのレギュラーに定着した黒江透修氏
名手・広岡達朗氏の跡を継いでショートのレギュラーに定着した黒江透修氏(85)は、短期決戦で勝負強さを発揮し、V9に貢献した。
「僕は日本シリーズに強いと言われていたが、優勝や日本一が決まるゲームで燃えるタイプなんです。お祭りが好きというか、自分のバットで優勝を決めたほうが気持ちいいですから。投手陣では、高橋一三(故人)も大事なゲームの最後に投げていた。それで堀内(恒夫・76)がいつも悔しがっていましたよ。今の巨人には、そういった“お祭り男”がいないのが寂しいね」
V7からV9まで巨人でプレーした広野功氏(80)は、生涯3度の「逆転サヨナラ満塁本塁打」を放った“お祭り男”として知られる。その広野氏が、主砲・岡本の活躍に期待をかける。
「岡本はテークバックを大きく取る打者なのでバランスを崩しやすい。とくに一発を狙おうとすると軸がブレてしまいます。なんでもかんでも振り回すのではなく、場面に応じて強振と軽打を使い分けて、1点を取りにいく野球に徹するべきです。
シーズンで打てなかった打線が、CSや日本シリーズで結果を出す策なんてないんです。岡本はシーズン中のクセを自分で理解しているはずなので、力まずにいい状態で臨んでほしいですね」
4番の爆発を待ち望むのは黒江氏も同様だ。
「V9時代は『ONまで回せば何とかなる』という思いが強かった。同じように、今年の短期決戦では『岡本まで回せば勝てる』という空気になってもらいたいね」
「若手起用」と「非情采配」
一気呵成に勝負が決まる戦いだからこそ、監督の采配が勝敗を分ける場面も多くなる。歴戦のOBたちは、就任1年目でリーグ制覇した阿部監督の手腕を高く評価した。そうしたなかで、初めて指揮を執る短期決戦にどう挑むべきか。関本氏が指摘する。
「阿部監督が、二軍を率いて学んだ経験を活かしてほしいですね。二軍監督をやったことで、若手選手の能力を見極めながらシーズンでチャンスを与えていった。それを選手が意気に感じて頑張り、ベテランも奮起した。短期決戦でも、信じた選手に託してもらいたい」