V7からV9まで巨人でプレーした広野功氏
今季ブレイクを果たした高卒2年目の浅野翔吾(19)や、坂本の後継でショートのレギュラーを担った門脇誠(23)といった若手を阿部監督がどう起用するか注目だ。広野氏は、場面に応じて「非情采配」が必要だと指摘する。
「短期決戦は1点を取る野球に徹すること。これが鉄則です。阿部監督には、状況によっては4番の岡本にも送りバントやスクイズをさせる決断も求められる。阿部監督はそういう野球をやってきたので、シリーズの采配も期待しています」
セ・リーグ優勝を果たした後、ミスターこと長嶋茂雄氏(88)は『スポーツ報知』で、今季の阿部監督を森祇晶氏に重ねてこう表現した。
〈昔から、阿部は頑固だった。一番感心したのは、先輩ピッチャーにも「僕はこう思います」と信念を貫いたことだった。(中略)まるでV9捕手・森祇晶を見ているようだった〉
〈ある時、大エース・堀内恒夫がカーブを投げたくて首を振った。しかし、森は頑として直球を要求した。(中略)堀内の荒れ球を生かした直球が空振り三振を奪った〉
森氏本人は阿部監督にこうエールを送る。
「短期決戦では捨てるところは捨てないといけない。すべての試合に勝とうとするのではなく、『2つ捨てて3つ取る』という考え方ができるかどうか。キャッチャー出身の阿部監督には、そんな我慢強い采配を見せてもらいたいね」
悲願の日本一奪回は果たせるか。新人監督の今季最後の戦いが始まる。
※週刊ポスト2024年10月18・25日号