芸能

“棒読み演技”を愛する自称「スティック・コレクター」高田文夫氏 ナイツ塙、爆笑問題・太田光、ナイツ土屋で「棒々鶏」完成を報告

“スティック・コレクター”の高田文夫氏(イラスト/佐野文二郎)

“スティック・コレクター”の高田文夫氏(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は“棒読み演技”を愛する「スティック・コレクター」としての日々について綴る。

 * * *
 偶然テレビで内藤剛志主演の『警視庁・捜査一課長』を見てしまった。そこに“奥野親道”と名乗る捜査一課長公用車の運転刑事としてナイツ塙が出ていた。奥の細道は知ってるけど何だその“ちかみち”ってと小さくあきれてつっこんで見ていたら、その演技たるやアハハと笑ってヘソで茶が冷める台詞まわし。

 翌日ニッポン放送で会ったので「昨日見たよ」に塙、嬉しそうにほめられるのを待っていたので私は「みごと。“流れるような棒読み”だな」。膝からくずれ落ちたヤホーであった。私のこの言葉、金言がはげみになったのかとうとう塙は素人演劇集団「劇団スティック」を立ちあげた。

 この熱、この芝居にかける情熱は並々ならぬものがあった。「我こそは棒だ」という男女が20人近く集まった。こいつらは私の言う「棒の道」を突きつめる気なのだ。第1回公演がせまってきた。あまりにもふびんに思ったのかなんと戸田恵子(アンパンマン・正義の味方)が助っ人に名乗りをあげてくれた。さすが私の芸能界一の古いつきあいのアクトレスだ。

 この日から私はテレビの中の“スティック・コレクター”となった。私にしか判別できない「棒」というのもあるのだ。

 そうこうしている内に爆笑問題太田光が「今度ドラマ出るからネ。もう演技派だから。ドラマツルギーとか日芸で習ってきちゃったから。漫才なんてやってる場合じゃない。芝居これ一本で行くから」と豪語。出演は新しくなった『孤独のグルメ』シリーズ第1回。「松重監督にはもうバカハマリだから」。ちょうどスティックを探している所に始まりました。

 太田は主人公・井之頭が食べに来る町中華屋のおやじ役。当人はいたく気に入り「これから先、いろんなドラマに呼んでもらって全部中華屋のおやじで出してもらおうかな。中華屋おやじの道を極めたい」など訳の分からないことを言っている。2本目の棒のコレクションだ。

 ふと気がついた。ナイツの土屋と舞台でからみ私がアドリブで「西日暮里どっち?」というとサッと指をさす。「八戸は?」「こっち」「マニラ」「こっちです」すべて方向が分かるのだ。鳥の目をして俯瞰で見ているのだ。「桂子師匠は?」ときくと塙が下の方を指さす。「地獄行ってねぇわ」というオチ。できた。「棒」と「棒」と「鶏」。「トリオ・ザ・バンバンジー」の完成である。爆問田中は片玉の為、欠席。

※週刊ポスト2024年11月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン