国内

《県職員は冷ややかにお出迎え》SNS効果で斎藤元彦兵庫県知事が再選 流布された「真実」は「事実」だったのか、求められる検証

兵庫知事選で再選し、兵庫県庁に到着した斎藤元彦氏(中央)11月19日(時事通信フォト)

兵庫知事選で再選し、兵庫県庁に到着した斎藤元彦氏(中央)11月19日(時事通信フォト)

 何かの物事を判断するとき、なるべく自分で考えようとしても「みんなが言っている」ことに人は影響を受けやすい。SNSが発達したいま、「みんな」はネットで頻繁に目にするユーザーによる発信も含むだろうが、その「みんな」は、果たして本当に事実を反映した「みんな」なのだろうか。臨床心理士の岡村美奈さんが、兵庫県知事選挙をめぐるSNSと、人々が考える「真実」の関係について考察する。

 * * *
 斎藤元彦知事が再選後、初めて県庁に登庁した。硬い表情で就任式に臨み「これから自分自身も生まれ変わる」と語ったが、集まった県職員らの表情は一様に冴えなかった。当選1回目の初登頂時は、県職員に大きな拍手で迎えられ、挨拶が終わりその場を去るまで拍手が続いていたが、今回、場の雰囲気は冷ややかだった。「皆で一緒に、もう一度頑張っていきましょう」と語りかけたが、職員らの反応は薄い。

 斎藤氏は当選当日、選挙事務所で「県民の皆さん一人ひとりが県政を見て、何が正しく、何が真実か、そしてどうあるべきかを判断していただきました。これは県民の皆さん一人ひとりの勝利だと思っています」と述べた。斎藤氏のいう真実とは何だったのか。職員らの反応を見る限り、彼らの真実と斎藤氏の真実には、大きな開きがあるようだ。

 17日に行われた兵庫県知事選で、斎藤氏は110万票あまりを獲得して再選を果たした。勝利の誘因は、18日に選挙事務所で開いた記者会見で自身が述べた「SNSが1つの大きなポイントだった」だと言われている。SNSを通じて支持が拡大、Xのフォロワーも急増、某メディアの出口調査では30代までの有権者の6割以上が斎藤氏に投票したという。

 だが選挙中から、SNSによる効果を危ぶむ声が聞こえていた。いくつかのメディアで分析された「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」だ。エコーチェンバーとは、SNS上で自分と似たような意見や考え方のユーザーをフォローすることで、同じような情報や記事ばかりがこだまのように繰り返される状況のこと。フィルターバブルは、ネットの検索履歴やクリック履歴によって、自分が見たい情報やニュースが優先的に画面にあがってくるというもの。アルゴリズムによる2つの現象から目にするSNSの情報は、知らぬ間に自分好みに偏り、予想に沿う情報ばかりを重視する「確証バイアス」を強化させる。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン