12月3日、経済財政諮問会議で「106万円の壁」対応を議論。石破茂首相は法案提出へ検討を指示した。103万円の壁より106万円の壁の方が、先になくなるかもしれない(時事通信フォト)

12月3日、経済財政諮問会議で「106万円の壁」対応を議論。石破茂首相は法案提出へ検討を指示した。103万円の壁より106万円の壁の方が、先になくなるかもしれない(時事通信フォト)

 なにしろ現在の現役世代、健康保険と年金、介護を合わせた保険料率は30%に迫るとされ(健康保険組合連合会・2023年度)、とくに高齢者のための前期高齢者財政調整制度および後期高齢者医療制度など、現役世代が丸抱えしなければならなくなっている。

〈高齢者医療を社会全体で支える観点に立って、75歳以上について現役世代からの支援金と公費で約9割 を賄うとともに、65歳~74歳について保険者間の財政調整を行う仕組みを設けている〉※厚生労働省

 こうした高齢者医療への拠出金に耐えられず解散や合併する健保組合もあり、その減少数は2010年度から数えても100組合を超える。また大手企業の中には単一健康保険組合(単一健保)と呼ばれる自社とそのグループなどによる健保組合を運営している企業もあり、おおむね社員の負担は少ないとされるが、それすら赤字に転落、保険料率を上げないと維持できない状態の健保組合が多数である。こちらもOBの数が多すぎる、つまり高齢者、ということになる。

「高齢者批判じゃなくて現実ですよ。他人のために、自分たちの使えるお金が減って構わない人なんていないでしょう」

 国民健康保険はさらに厳しく滞納は約200万世帯にのぼる。調査による上下はあるが全世帯数の10%以上が完納できていない状況かつ国保のみは基本的に収入の少ない世帯も多いため一定収入以上ある現役世代に負担してもらうしかない。

 国民年金の保険料も2024年度は1万6980円で前年度から460円の引き上げとなった。前年度までの2年間で90円引き下げられたとはいえ、それが帳消しのかたちとなった。

 とにかく年金受給者が多すぎる。それはこれからも増え続け、現役世代は減り続ける。

「いっそ積み立てにして欲しいですよ。私たちの世代なんていつもらえるか、支給70歳からとか、下手をすれば80歳とか、信用できません」

 そうなるかどうかはともかく日本は賦課方式なので世代間扶養や所得の再分配的な性格を持つ公的年金だが、シンガポールなどは公的年金ではないが中央積立基金と呼ばれる社会保障貯蓄制度で積立方式が採用されている。新興小国だからこその制度で自助の性格が強い。少し乱暴なたとえだが、義務づけられた個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)のみを年金として積み立て、それを政府が管理するといったところか。

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン