ビジネス

103万円の壁問題とともに浮上した106万円の壁撤廃は別の経済苦を生むか パート主婦「手取りも減るってことですよね」コンビニオーナー「スポットで働く人を増やすか」

衆院選で国民民主党は「手取りを増やす。」というスローガンなどが共感を集め躍進した。9月、記者会見で次期衆院選の重点政策を発表する玉木雄一郎代表(時事通信フォト)

衆院選で国民民主党は「手取りを増やす。」というスローガンなどが共感を集め躍進した。9月、記者会見で次期衆院選の重点政策を発表する玉木雄一郎代表(時事通信フォト)

 12月の風物詩として恒例となった「今年の漢字」は「金」と発表された。五輪イヤーだったので、普通ならば「金メダル」を多くの人が連想してもよさそうなものだが、2024年に限っては、物価高などで「お金がない」というような、身近な金回りのことを思い浮かべた人が多いのではないだろうか。いわゆる「103万円の壁」が撤廃されたとしても自公案は123万円で178万円を要求している国民民主と隔たりがある上に、先に実現しそうな106万円の壁撤廃で手取り増が帳消しになりそうないま、人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が労働者、中小事業者が直面する生活不安についてレポートする。

 * * *
「一般サラリーマンは何をしても手取りが減るのが現実なんじゃないですか。多少の昇給では減るいっぽうですよ」

 都内の大手企業に勤める40代男性、共稼ぎの妻と子ども二人のいわゆる「パワーカップル」だが、使えるお金が減り続けていることを実感していると話す。

「社会保険料に所得税、住民税だって馬鹿にならない。給与明細なんて見たくなくなる」

 この国でずっと言われ続けている「手取り減」問題。筆者は2023年に『「使えるお金が減っている」昇給しても苦しい中間層世帯が生き残るために決断したこと』を書いたが、現在も多くの現役世代の「使えるお金」は減り続けるいっぽうだ。

「夫婦二人でフルタイムでも、周りが思うよりずっと使えるお金は少ないです。たいした節税もできないまま、取られるばかりのサラリーマンはみなそうじゃないですか?」

高齢者批判じゃなくて現実

 国税庁の「民間給与実態統計調査」によると平均給与は2021年から微増だがそれも数%、これでは世界的な物価高に追いつかない。

 さらに、この国ではそれ以上に現役世代が負担する社会保険料が上がり続けている。40歳を超えると介護保険料も徴収される。雇用保険料もコロナ禍による「雇用調整助成金」の財源枯渇の影響もあり引き上げとなった。

 各業界の健康保険組合(総合健保)もまた瀕死の状態だ。とくに「2022年危機」と呼ばれた団塊世代の75歳到達によって財政悪化が急速に進んでいる。年収や加入健保にもよるが、その負担額がとんでもない数字になる人もいるだろう。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン