国内

《能登地震から1年「1人で迎える元日」》震災で妻子を失った警察官「珠洲には辛くて帰れなかった、でも…」苦しみ、そして前を向き始めたきっかけ

激動の1か月を経て石川県警の警察官・大間圭介さんは今、何を思うのか

石川県警の警察官・大間圭介さん(2024年1月撮影)

 2024年の元日、能登半島を襲った大震災。住宅の倒壊などで亡くなった直接死の犠牲者は228人、災害関連死者を含めると死者は489人に上り(12月13日時点)、現地では今も復興作業が続いている。

 1月1日、珠洲市仁江町にある妻の実家で、1年の始まりを迎えていた石川県警の警察官・大間圭介さん(43)。妻・はる香さん(享年38)の両親を含む親族12人での団欒は、午後4時過ぎの地震で一変した。裏山の土砂崩れが家を襲い、9人が死亡。はる香さんと長女の優香ちゃん(享年11)、長男の泰介くん(享年9)、次男の湊介くん(享年3)も命を失った。

 震災直後、倒壊した家の前で「自分も土砂崩れに巻き込まれていたら、こんな辛い思いをせずにすんだのかなと思う」と、NEWSポストセブンの取材に涙ながらに語っていた大間さんは、震災発生から1年が経としている今、何を思うのか。彼は妻や子供たちと共に暮らしていた金沢市内の自宅で、「1人の生活」を続けていた——。

「1月の葬儀のあとは、しばらく家族の思い出を振り返ったり、子供のことを考えて1日中過ごすような日々が続きました。1人でいることの苦しみや悲しみは変わらないんですけど、2月の下旬くらいに仕事に戻って、1人で生きる生活が始まってからは、ここまで意外と早かったなあという印象です」(大間さん、以下同)

 家族写真の前でその日あったことを話す日課は、欠かさず続けているという大間さん。「1人の生活」に戻る過程で始めたのは、Instagramへの投稿だ。家族の写真をアップし、その日あったことや家族への思いを綴っている。

「葬儀の日、妻や子供を思って集まってくれた人たちと会って、家族が大切にしていた人たちとのつながりを失いたくないなと思ったんです。妻の携帯電話は土砂に埋まってしまったので、連絡先もわからない。

 そんな時、友人が『Instagramをやれば、気付いた人が連絡をくれるよ』と教えてくれたんです。やったことはありませんでしたが、長女の幼稚園の時の友人の母親や、妻の昔の同級生など、いろんなつながりを持った人からDMをもらって、今まで知らなかった話を聞けています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト