突然閉店した振り袖の販売・レンタルや着付けを手掛ける「はれのひ」店舗。目張りされ、店内が見えないようになっている。2018年1月12日(時事通信フォト)

突然閉店した振り袖の販売・レンタルや着付けを手掛ける「はれのひ」店舗。目張りされ、店内が見えないようになっている。2018年1月12日(時事通信フォト)

 筆者は以前、ド派手な式典衣装で有名な福岡・北九州や、横浜、埼玉、千葉などの「二十歳の集い」を取材したが、この女性ディレクターが指摘するように、彼らの派手な袴や着物の注文方法が、ちょっと特殊だった例をいくつも確認した。成人式のための着物を頼む場合、普通に思い浮かぶのは呉服店など着物を扱う業者に直接、連絡して選び購入やレンタルの契約をする、というものだ。ところが、彼らはヤンキー仲間との独特なコミュニケーションの延長で衣装を手配し、お金も動かしていた。

「沖縄県内の式典も近年はド派手になってきており、中学校や地域ごとの出身者でおそろいの袴を揃える、というパターンが多いです。今回も、同じ出身中学のしきり役が先輩を通じて業者に一括オーダーする、という流れでした。業者の代表者は、別の業者に集金や客集めを任せていたようですが、契約書も残っておらず、商売としてはかなりずさん。客側からも“地元のつながりだからとは思ったが、まさか逃げられるなんて”といった声が上がっています」(女性ディレクター)

 筆者が過去に取材した新成人のうち、ヤンキー界隈では似たようなやり方で衣装を手配することは少なくなかった。たとえば、暴走族や地元のヤンキーの先輩、といった成人にとって不平不満を言いづらい人たちから、新成人のまとめ役に「注文」を集めるようにと伝えられる。まとめ役は同級生の「客」を集め、金も回収して先輩に収めなければならない。それなりの金額が動いていたが、契約書らしきものを交わした新成人はいなかった。そのため価格設定も怪しいもので、先輩と衣装の業者とが結託していて適正価格より高い金を払わされ、明らかに「中抜き」されたと思われる新成人にも会った。普通のビジネスとはほど遠いやりかたで安くない衣装代が行き交うので、当然、トラブルが頻発していた。だが、2018年に発生した「晴れ着トラブル」のように報じられることがなかったため、関係者以外は知らないことだった。

強制的にピンク色の袴

 今回の沖縄のケースが、筆者が過去に見聞きしたものと同じかどうかはまだ、判然としない。だが、報道されて世間が知るところとなった今、自分も同じような体験をしたことがあると訴える声が他地域から聞こえてきた。あのように派手な式典衣装の購入やレンタルを巡るトラブルに見舞われたと、神奈川県横浜市在住の男子大学生(23)が振り返る。

「僕が式典に参加した時は、地元の暴走族の同級生から強制される形で、ピンク色の袴を着せられました。いやでいやで仕方なかったけど、そいつ(暴走族)が“もう決まった”と、レンタル料15万円も要求してきました。そいつの上には、反社と噂される先輩がいて、その先輩が袴を用意してくれると聞いていました」(男子大学生)

 式典前日、大学生の元には確かに「ピンク色の袴」一式が届いたが、サイズがだいぶ小さく、そもそも「正絹」とされていたはずの衣装はどうみても「化学繊維」製だった。母親にも相談し、15万円は高すぎるしサイズもあっていない、と暴走族の同級生に訴えた。

「まあ脅されましたね(笑)、先輩に文句があるのか、と。友達もサイズの合わない袴が送られてきたようですが、相手が相手だから、お互い泣き寝入り。後から怒鳴り込まれるのもいやですからね。慌ててスーツを買いに行って事なきを得ましたが、もう思い出したくもないです」(男子大学生)

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