ビジネス

《フジ10時間超会見》社長だった港浩一氏はなぜトラブルを把握しながら中居正広の番組を続けたのか?心理士が指摘する「不作為バイアス」

1月27日の記者会見で辞任することを発表したフジテレビの港浩一社長(左)、嘉納修治会長(AFP=時事)

1月27日の記者会見で辞任することを発表したフジテレビの港浩一社長(左)、嘉納修治会長(AFP=時事)

 不測の事態が自分の身近に起きたとき、黙ってやり過ごすか、適切な対処をめざして試行錯誤するか、どちらを選択するかで未来は大きく変わるだろう。中居正広の女性トラブルをめぐるフジテレビの対応は、黙って通り過ぎるのを待ち続けたあげく事態を悪化させてしまったようにみえる。臨床心理士の岡村美奈さんが、10時間超会見で垣間見えた港浩一・元フジテレビ代表取締役社長に生じた「バイアス」について解説する。

 * * *
 1月27日午後4時から始まったフジテレビの二度目の会見、登壇した経営陣は10時間半近くも質問に答えた。不躾な質問に途中で逆上したり、ブチ切れることなく、どんな質問にもなんとか答えようと努めていたのは、辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングス(HD)取締役でフジテレビ社長の港浩一氏と同HD会長でフジテレビ会長の嘉納修治氏、役員を続ける同HD社長の金光修氏、フジテレビ副会長の遠藤龍之介氏、そしてフジの新社長に就任する清水賢治氏の5人だ。

 会見で「全責任は私にあります」と言い切った港氏の顔は疲労の色が濃かった。登壇した経営陣の中で、2023年6月に発生した中居正広氏による女性トラブルを知っていたのは港氏だけ。人権侵害の可能性がある事案でありながら、港氏は、当人同士しか知り得ないプライベートでセンシティブな出来事で、女性の希望だとして「少人数で職場復帰できるまで寄り添う」と決めたと述べた。結果、当時コンプライアンス委員会のトップにいた遠藤氏にも情報は共有されなかった。

 中居氏の番組継続について、「いつ終了するか常に考えていた」という港氏は同時に「女性のコンディションについても、番組を終了することが刺激にならないかを考えていた」。人に知られずに職場復帰したいという女性の意志を尊重するばかりに、早期に中居氏の番組を終了するチャンスも逃したと語った。始まったばかりの『まつもto なかい』を「唐突に終了することで憶測を呼ぶことを憂慮した」と釈明。番組を中止するような大きな動きをつくることを控えたいという考えがあったという。

 ここで港氏に「不作為バイアス」が生じた可能性はある。何らかの決断がマイナスの結果を生むになら、今は何もしないほうがいいという考えが生じたのではないか。そして今は時期をみよう、女性の体調を尊重しようと自分に言い訳したのではないだろうか。

関連記事

トピックス

異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
広島・広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
大谷翔平&真美子さん、イチロー&弓子さん、賀来賢人&榮倉奈々、反町隆史&松嶋菜々子…“しあわせな結婚”を実現した理想の有名人夫婦
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
ポータブルトイレの大切さを発信するYoutuber・わさびちゃん
「そもそもトイレの話がタブー過ぎる」Youtuberわさびちゃんが「トイレ動画」を公開しまくるようになったきっかけ「芸人で恥ずかしいこともないし、夫に提案」
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン