【長野3人死傷事件】送検のため、長野県警長野中央署を出る矢口雄資容疑者(中央)1月27日(時事通信フォト)
警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、北九州中学生殺傷事件や長野3人死傷事件で容疑者逮捕へ繋がった「リレー捜査」について。
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長野市のJR長野駅前で男女3人が殺傷された事件で、1月26日、無職の矢口雄資容疑者が殺人未遂容疑で長野県警に逮捕された。矢口容疑者は駅構内を数十分以上うろついた後、駅の階段付近で被害者男性の胸と背中を刺して殺害。近くでバスを待っていた男女2人を背後から襲った。その後、現場から徒歩で逃げる姿が防犯カメラの映像などで確認され、容疑者の画像が公開されていた。
県警はさらに新たな画像を公開し、情報提供を呼び掛けた。画像の容疑者は頭に白っぽい布を巻き、メガネをかけ、長く特徴的なあごヒゲをたくわえていた。しかし逮捕された容疑者にはひげもなく、短髪。メガネもかけていなかった。容疑者が見た目の印象を変えて、特定されるのを避けたのだろう。それでも容疑者はすぐに特定された。画像公開から多くの情報提供も集まったというが、容疑者の特定の決め手となったのは防犯カメラによる「リレー捜査」だった。
長野県警は駅周辺の防犯カメラ映像などをつなぐリレー捜査を行った。リレー捜査は、昨今の刑事ドラマや映画などでもよく描かれている捜査手法だ。ドラマなどで現場周辺を捜査する刑事たちが、店や路地などに取り付けられた防犯カメラや駐車中の車の車載カメラを確認している、アレだ。元刑事は「リレー捜査では容疑者の外見を特定し、周辺のカメラの映像をつなぎ合わせて移動方向をたどる。まず探すのは防犯カメラだ」という。この捜査には犯行後の容疑者の足取りを追う「後足捜査」と、現場に向かう容疑者の足取りをさかのぼる「前足捜査」という手法もある。今回、容疑者特定の決定打になったのは前足捜査だ。
防犯カメラシステム導入間もない時期の「リレー捜査」
今ではどこにでも設置されている防犯カメラだが、繁華街周辺に取り付けられるようになったのは2000年代に入ってからだ。その頃の歌舞伎町では、中国人残留孤児の子供らを中心として結成されたストリートギャングの怒羅権が勢力を拡大させていた。さらに出身地ごとにグループを形成した中国人たちがぶつかりあい、その数は新宿にいる暴力団の数を超えるまでになっていたといわれている。