芸能

ドラマ『御上先生』“一人勝ち”の理由、「これまでの学園ドラマと一線を画す生徒役のキャスティング」

日曜劇場『御上先生』で主演を務める松坂桃李

日曜劇場『御上先生』で主演を務める松坂桃李

 1月クールのドラマで注目を集めている松坂桃李主演の日曜劇場『御上先生』(TBS系)。詩森ろばさんが手がけた脚本が絶賛されているが、評価が高いのはそれだけではないようだ。これまでの学園ドラマとは一線を画すポイントについて、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

* * * 

 視聴率、ネット反響、識者の評価……冬ドラマの中で『御上先生』(TBS系)があらゆる面で“一人勝ち”というムードが高まっています。 

 同作は「文部科学省の官僚が派遣制度によって私立高校に出向して教師となり、独自の授業を行うほか、権力に侵された日本教育に立ち向かっていく」という学校が舞台のエンタメ作。単純な学園ドラマに留めず、文部科学省を絡めて教育そのものを扱い、さらに殺人事件などをめぐるミステリーを盛り込んだハイブリッドな作風で幅広い視聴者層からの支持を集めています。 

 さまざまな要素を絡めたエンタメ性の高さに加えて評判がいいのは詩森ろばさんが手がける脚本。これまで主に舞台を手がけてきた詩森さんは「民放のドラマも、連ドラを1人で手がけることも初めて」ながらも、主人公・御上孝(松坂桃李)による説得力十分の授業に加えて、TBSの象徴的な学園ドラマ『3年B組金八先生』を否定するようなセリフを織り交ぜるなど硬軟自在の脚本で称賛を集めています。 

 実は『御上先生』は一般視聴者だけでなく、「業界内の視聴率も断トツ」と言われていますが、その理由はこれらではなく、生徒役のキャスティング。「これまでの学園ドラマとは一線を画す」「これだけそろえたら見ないわけにはいかない」とまで言われるキャスティングは具体的にどんなところが凄いのか。若手俳優たちの名前をあげながら掘り下げていきます。 

「外見と人気」優先の学園ドラマ 

 これまで『御上先生』は放送のたびに多くの記事が配信され、SNSのコメントも活発にアップされてきましたが、その大半はストーリーや御上先生のセリフに関するものが占めていました。 

 つまり「それだけ脚本・演出が素晴らしいから、業界内で注目を集める生徒役があまり話題にあがってこなかった」ということになります。しかし、回が進むにつれて徐々に1人1人の生徒役がクローズアップされはじめてきました。そして勘のいい人は生徒役のキャスティングが凄いことに気づいたようなコメントをしはじめています。 

 では具体的に何が凄いのか。ひと言で言えば、“実力優先が徹底されたキャスティング”でしょう。「何だそんなことか」と思われるかもしれませんが、特に学園ドラマの生徒役はこれが難しいところがあります。 

 もともと学園ドラマは主に教師が務める主人公の主演俳優だけでなく、「生徒役の若手俳優で視聴者を引きつける」というプロデュースを採用してきました。大手芸能事務所から期待の若手をピックアップするほか、すでに一定の人気を持つアイドル、モデル、グラビアタレントなどを起用。視聴率を確保し、スポンサーを納得させるために、外見や人気を先行させて実力は後回しになり、視聴者から「こんな美男美女ばかりのクラスないよ」とツッコミを入れられがちでした。 

 これは民放各局共通であり、日曜劇場で放送された学園ドラマを見てもほぼ同様。2021年の『ドラゴン桜』、2016年の『仰げば尊し』、2014年の『ごめんね青春』でも程度の差こそあれ、その傾向が見られました。唯一、高校野球を扱った2023年の『下剋上球児』は、野球の技術やプレー中の表情をベースにフレッシュな若手俳優を集めたものの、やはり演技の実力を優先したキャスティングではありませんでした。 

関連キーワード

関連記事

トピックス

“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン