中に人がいるのかわからず待ちつづける場面も(読者提供)

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 難しいのが、自分が万博に対して興味を抱けない場合。「万博に行ってきた!」と話している人に対して、反射的に「物好きだねー」「よくあんなの行くなあ」と言ってしまいそうになります。しかし、それはいささか無神経。しかも「自分は興味がない」とアピールしてマウントを取ろうとしているわけで、けっこうはしたない態度と言えるでしょう。

 まして「俺は維新が大嫌いだから絶対に行かない」と、いきなり政治に結び付けて否定するのは、たとえ本心だとしてもさすがに唐突です。「カジノ云々」「利権云々」という類も、「行ってきた」と言っている人にする話ではありません。自分ではカッコいいつもりだったりしますが、聞く側は「やれやれ」と思うだけです。

やっぱり行きたくなった場合の周囲や自分に対する望ましい言い訳

 このあいだまでは「万博? ぜんぜん興味ないし、行くつもりもない」という気持ちで周囲にもそう話していたのに、いざ始まったら「せっかくの機会だから、やっぱり行ってもいいかな」と思った場合は、どうすればいいか。もちろん、行くのは自由ですが、周囲や自分に対する“言い訳”がないと、せっかく行っても心置きなく楽しめません。

 たとえば「批判するにしても、自分の目で見ておいたほうがいいからさ」「すでに多額の税金を使っちゃてるわけだから、楽しまないと余計にもったいないもんね」といった言い方で変節を正当化したとしても、聞く側は「なるほど、そのとおりだ」と素直に納得できないでしょう。自分としても「苦しい言い訳だな」という後ろめたさをぬぐい切れない予感がします。

 行きたくなってしまったものは仕方ありません。気が変わるのは人間の常だし、世の中の雰囲気に流されるのも人間のサガです。「いやあ、やっぱり行ってみたいよね」と少し照れ臭そうに呟けば、人間の弱さやいい加減さを鷹揚に受け止める潔さや、雑念に惑わされずに自分の意志を貫く力強さを表現できます。

 そもそも周囲の人は、あなたが万博に行こうが行くまいが知ったこっちゃないし、万博が始まる前になんて言っていたかなんて気にしていません。前言を翻して行く決断をすることで、自分の殻を打ち破った気になれるでしょう。同時に「いざ始まったらけっこう盛り上がる」の図式にまんまとはまった己の浅はかさも噛みしめることができます。

 行くにせよ行かないにせよ、私たちに複雑で面倒な思いを抱かせてくれる「大阪・関西万博」。そんな思いを噛みしめることが、テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」という漠然としたお題目の意味を考える第一歩になるに違いありません。知らんけど。

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