2026年度から使用される、闇バイトなどの記載がある教科書(時事通信フォト)

2026年度から使用される、闇バイトなどの記載がある教科書(時事通信フォト)

「強盗をやる方も反社、被害に遭うのも反社というわけですから、事件が起こったとしても、表沙汰になりづらいから警察が介入してこない、という思惑が、犯行側にあったのでしょう。実際、反社勢力間でのトラブルは闇に葬られることも多いです」(大手紙社会部デスク)

 暴力団構成員を含む反社会的勢力の人々は、強盗などに遭っても、被害を警察に届けることはほとんどなかった。みっともないし、格好がつかないという見栄もあるだろうが、被害の捜査によって、組織的な犯罪行為を摘発される口実をつくりたくないという事情もある。だから、強盗が成功すれば逃げやすいと考える犯罪グループが出現するのだろう。

 ところが、実際の犯行に駆り出されるのは、SNSなどで集められた質の悪い「闇バイト」応募者である。犯行直前に恐ろしくなったり、杜撰な計画、行き当たりばったりの犯行により、被害者を殺めたり怪我を追わせるだけで、金品をほとんど奪い取れない未遂事件に終わるパターンも少なくない。

 そして今、反社会勢力たちが新たに狙いをつけているのが、現役ではない「元反社」なのだという。

引退時に大金を持ってやめているはず

 反社会的勢力を退いた人たちが「新ターゲット」になっていると断言するのは、かつて特殊詐欺の”指示役”として検挙された経験のある、関東地方の特定指定暴力団傘下の元組幹部(50代)だ。

「地面師とか裏カジノ屋など、現役の裏社会の人間がターゲットにされたという噂が回りました。しかし、犯行は成功しておらず、事件後には、半グレだけでなく、組関係者を巻き込んだトラブルにもなっていたようです。結局、現役を狙うと反社グループ同士、反社のケツ持ちの組同士で相当ややこしいことになる。だから、現役から足を洗った元組員などが狙われるようになった可能性はある。彼らは、引退時に大金を持ってやめているはずですから」(元組幹部)

 冒頭で紹介した、佐賀・唐津の被害者宅が狙われた経緯についても、こう私見を述べる。

「狙われたお宅には、かつて付近を仕切っていた暴力団の関係者が住んでいたようです。しかし、この暴力団自体が何年も前に、別の暴力団組織傘下に入っており、最近では目立つ争いごともなかった。そうした、暴力団同士の抗争やトラブルがほとんどない地域の古い暴力団関係者が、新たに勃興した別の反社に狙われるのがトレンドになるかもしれません。実際、事件にはなっていませんが、九州南部や関東の元暴力団関係者からも”反社に狙われた”という話を聞いたことがあります」(元組幹部)

 市民から奪えなくなると、今度は「同業者」さえ狙い撃ちにして、金品を奪おうと目論む詐欺師、強盗たち。彼ら同士でつぶしあいをしてくれるのなら勝手にやらせておけばよい、と思ってしまうが、そうしたトラブルに巻き込まれるのはいつも無関係の善良な市民たちである。悪意なく普通に生活していれば平和に過ごせた時代は、もはや遠い昔のものになりつつある。

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