国内

【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分

「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手

「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手

 2017年に世間を騒がせた「積水ハウス55億円詐欺事件」。大手デベロッパーが詐欺集団に騙された驚くべき事件は昨年、ドラマ化されたことで改めて注目を集めた。すでに逮捕されたメンバーには実刑判決が下されたが、“主犯格”とされる人物たちは、今も真相は別のところにあると主張していた。

 獄中の「地面師たち」とやり取りした手紙の内容からは、事件の闇がまだ深いことが浮かび上がってくる。ライターの河合桃子氏がレポートする。【前後編の前編】

 * * *
〈日々テレビを見ていると、私が主犯であるストーリーが、実名で固まっていくのを感じました。マスコミは怖いです。警察の取り調べもマスコミのストーリー通りでした〉(2025年1月9日消印)

 手紙のなかで自身が「主犯」に仕立て上げられたと綴るのは、不動産デベロッパー・積水ハウスから55億円を騙し取った事件の主犯格のひとりとされるカミンスカス操(旧姓・小山。事件関係者は小山と呼ぶ)である。

 地面師の取材をしていなかった私が積水事件に興味を持ったきっかけは、事件で有罪判決を受けたAとの出会いだった。

 取材活動で各地に赴いていると、稀に異なる事件の当事者同士の接点に出くわすことがある。それが、2024年1月に東京都足立区の住宅の床下から夫婦の遺体が見つかった事件だった。

 この夫婦が実は“ハプニングバー”経営者だったことも世間の耳目を集めた。加えて夫婦を殺害したフィリピンパブの元ホステスが、積水事件の主犯格とされるカミンスカスが贔屓にしていたホステスだと判明した。

 私は元ホステスとカミンスカスの2ショット写真を入手し、それが本人かを確認するために知人を介してAに会ったのが始まりだった。Aは捜査時に自らの罪を認めて捜査協力し、すでに刑期を終えて塀の外に出ていた。

 改めて事件を振り返ると、積水ハウスは2017年6月、東京・五反田にあった老舗旅館「海喜館」をめぐり、偽の地主や土地の権利証を用意した地面師たちに55億円を騙し取られた。

 逮捕者は17人で、うち7人は不起訴に。起訴されて有罪判決が下った10人のうち“主犯格”とされたのが土地の権利証と保険証を偽造して用意した内田マイク、指示役の土井淑雄、そして買い主の中間業者や積水ハウスと商談を重ねたカミンスカスだった。他に偽の地主役やその手配師が有罪となり、Aを含む10人には、民事訴訟で積水ハウスへの計10億円の損害賠償命令も下された。

 すでに刑期を終えた者が5人(うち1人は獄中死)いるが、実はまだ獄中の“主犯格”たちは、無実を訴え損害賠償命令も不服だと主張し続けていた──。

 事件を追った複数の作品に加えて昨年7月、事件をモデルにしたドラマ『地面師たち』(ネットフリックス)が話題になった。指示役を演じた豊川悦司や交渉役の綾野剛といった豪華な俳優陣だけでなく、巧妙なチームワークによるスリリングな詐欺描写が観る者を惹きつけたからだろう。

 だが、実際の事件のその後を追うと“チームワーク”というより、詐欺グループ内部でも“騙し合い”があったと窺える。当然ながら「詐欺」で実刑判決を受けた人物たちの主張を鵜呑みにはできないが、それぞれの説明が少しずつ食い違う様子は、事件にまだ謎が多く残ることを示している。

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン