横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
『週刊ポスト』2025年5月2日号で約3年にわたる連載を終えた横山剣氏の「昭和歌謡イイネ!」。その総括として、今号では横山氏が歌手生活50周年を迎えた岩崎宏美氏と、あの名曲、あの人、あの時代について、熱く、濃密に語り合った。【前後編の前編】
“花の中三トリオ”と同い年
横山:僕にとって岩崎さんは、堀越高校の2年先輩にあたります。そもそも入学のきっかけを作ったのが、他でもない岩崎さんだったんです。
岩崎:どういうこと?
横山:作曲家志望だった15歳の僕は、父親の伝手をたどり、中学を卒業したら雇ってくれないかと、新田さんというビクターの社員の方に、相談に行ったんです。
岩崎:積極的ですね。
横山:いや、単に世間知らずだっただけで(笑)。レコード会社に中卒の採用枠はなかったし、作曲家を社員として抱えるわけもない。
岩崎:考えてみれば、それはそうですよね(笑)。
横山:彼も困ったと思うんですよね。その時、ふと同じフロアを見渡したら、堀越高校の制服を着た岩崎さんが、色紙にサインを走らせていたんです。
岩崎:あら、そう。
横山:それを目にして、自分は堀越に入るべきだと確信したんです。
岩崎:運命、変えちゃったわけですね(笑)。
横山:芸能コースの生徒と知り合えば、僕の曲を歌ってくれるチャンスがあるかもしれないと考えまして。
岩崎:じゃあ、芸能コースに入ったんですか?
横山:いいえ。どこかの事務所に所属していないと、堀越の芸能コースって受験すらできない。
岩崎:そうだったんだ。