「人気とは高さではなく長さだ」(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、連載500回、ラジオ35年、結婚52年、心肺停止から14年でもうすぐ喜寿、と長く続いていることについて。
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この連載もつい先日500回記念。世の中には切りのいい数字というのもあるもので、私の番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)も昨年35周年記念。思い切ってこちとら江戸っ子「国際フォーラムのA。一番でかい5000人収容押さえとけ」と口から出まかせ言えば即完売。誰も褒めてくれないが、しみじみ自分の人気と実力にほれぼれ。常々言ってることだが「人気とは高さではなく長さだ」ということ。
長く続けるとはどういうことか。夫婦間でもそうである。先日本当にびっくりしたことがある。何かの用事で戸籍謄本を見ていた妻、私ものぞいたら思わず「キャー」とふたりで声を出した。入籍の日付けを見たら4月17日!? 「今日ーッ?」。若い頃より忙しさにかまけて結婚記念日なぞ考えてもこなかった。1973年……「エッ52年前?」。そうです。金婚式すらもう2年も過ぎていたのである。サッパリしすぎている老夫婦なのだ。細かいことをあまり考えてこなかったから長生きも出来たのだろう。
今76歳。63歳の時、エンタメ界を震えあがらせた“高田心肺停止8時間。ICUに3か月”これだけのことを乗り越えてまだ働いて笑わせてるなんて人間そうはいないだろう。周りの人間が「6月で喜寿ですよ。にぎやかなこと好きだからライブやりましょう。放送局とか制作会社とか入るとややこしく面倒くさいので、我々だけでサッサとやっちゃいましょう」という訳ですぐに決まった「祝77歳! 高田文夫生誕祭・文夫の部屋スペシャル」。
私が好きな連中で気楽にやりたいので集まってくれたのはイッセー尾形。私とイッセーとの自然すぎるタップリトークは相当面白そう。そこへ片岡鶴太郎(仙人・ヨギーよ今夜もありがとう)も入って、世にも珍しい3人トーク。声を掛けたら張り切る鶴太郎、当日本芸のものまねも人前で久々にタップリみせてくれる。「チョッチュネ」「マッチでーす」「コモリのおバケちゃまよ」の大炸裂である。他にも立川志らくの噺やら、松村邦洋のものまね漫談やらいろいろ用意だけはしてあるのでお楽しみ。“喜寿だらけの天使”だらけのこの会は本日(週刊ポスト発売の4月28日)がこの情報解禁で前売チケットは5月10日発売です。「文夫の部屋」は7月26日(土)13時開演。場所は有楽町で逢いましょうの有楽町よみうりホールです。チケットはお早めに。
〈PS〉「オール日芸寄席」で宮藤官九郎、一之輔らと楽しく仙台まで行ってきました。味をしめた一同「秋には、またどこかへ行きたいネ」だと。
※週刊ポスト2025年5月9・16日号