2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん(2017年)
1990年代は手がけたニットブランド「フィッチェ・ウォーモ」がビートたけしらに愛用され、2000年代からはテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったデザイナー・ドン小西さん(74)。昨年、所属事務所「サムデイ」が破産し、一昨年にはファッションチェックを連載していた「週刊朝日」が休刊に……。
「パワフルなドンさんのあの辛口評をもっと聞きたい!」と思っている人も多いのではないか。東京・白金のアトリエ兼自宅を直撃すると、ドン小西さん、1人忙しくPCに向かってメールを打っていた──。【前後編の前編】
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今は事務所に所属していません。事務所がないと活動できない、という時代じゃありませんから。歌手だって、レコード会社に所属しなくたってオリジナル曲を発表できるし、誰だって発信したいことがあればSNSを使えばできるんですから。
ファッションチェックはダイレクトにしていますよ。政治家にアドバイスすることもあります。この前、衆議院議員の茂木(敏充)さんが情報番組『大下容子ワイド! スクランブル』(テレビ朝日系)に出演しているのをたまたま見ていたから、「今日の服装はネクタイも含め最高です。爽やかで都会的で、視聴者もこの人の言ってることはよく聞いておこう、なんて気になります……」なんてLINEしたら、「ありがとうございます」と返事がきました。
店で飲んでいるときなんかでも、ファッションについて意見を求められることが結構あるんです。「このシャツはボタンダウンだけど、どう?」とかね。でも、そんなディテールは問題じゃないんですよ。ファッションというのは時代を映し、そして身につけている人の内面や考え方、生い立ち、価値観……全部表われるものなんです。いってみれば、その人の包装紙。立派な中身なら、立派な包装紙にくるまれているでしょう? そうでないものは、それなりです。ということは、中身がそれなりなら、ファッションから見抜かれるんだから怖いですよね。