大沢たかお本人も「祭り」に反応
自分の身に起きた深刻な体験を可愛い猫とともに伝える「猫ミーム」や、走るメンフクロウのヒナを背景に豆知識を伝える「エッホエッホ」など、SNSでは様々な「お題」が流行してきた。2025年5月、ここに俳優の大沢たかおが演じる映画『キングダム』の王騎将軍が加わった。臨床心理士の岡村美奈さんが、子育て中のママをはじめとした女性たちが、なぜ20kg増の肉体改造ぶりが話題になった筋骨隆々とした王騎将軍に思いを託したのか分析した。
* * *
ゴールデンウィークの最中からしばらく、SNS上で1つの祭りが話題になった。「#大沢たかお祭り」だ。といっても、俳優の大沢たかおさん自身を祭り上げたものとはちょっと違う。この祭り、大沢さんが人気映画『キングダム』で演じている王騎将軍の画像を使って、育児あるある、夫あるあるなどの日常のあるあるを子育てママ世代を中心に自虐的に投稿していた大喜利ネットミーム。肖像権や著作権の問題はあれど、なぜ子育て世代のママさんらは、自分たちと似たようなプロフィールの人ではなく、王騎将軍の画像が気持ちを表現するのにしっくりくると感じたのだろうか。
大沢さん演じた王騎将軍とは、中国、春秋戦国時代を舞台とする秦国随一の天下の大将軍だ。あごに蓄えた三角ヒゲ、腕の筋肉がはちきれんばかりにモリモリのボディビルダー的な体格、「ンフフフ・・・」という独特の笑い方に不敵な笑みを浮かべ、上から目線のきびしい視線や戦闘シーンでもメリハリのきいた迫力満点の表情をみせる超個性的な強烈なキャラの人物。強くて怖くて賢くて冷徹という圧倒的なカリスマ性とともに、主演の山崎賢人さん演じる天下の大将軍を夢見る信の成長を見守るという優しく温かい一面も見せる。
祭りのきっかけとなったのは「KIKO」さんという子育て中のママさんのThreadsの投稿だそうで、王騎将軍の写真とともに「小学校の給食が始まった時のわたし」というコメントと、「週末3連休と知った時のわたし」というコメントをつけて投稿。当時の感情を王騎将軍の表情になぞらえて投稿したものだったといい、しんどい気持の表現と表情との組み合わせが絶妙で思わず笑ってしまう。
これに子育て中のママさんユーザーたちが共感できると反応し、様々なあるあるを王騎将軍の画像とともに投稿。子育てママでなくても”わかる!”と思えるし、クスッと笑えてしまうものばかり。ついには子育てママの枠を超え、日常のあるあるを画像とともに大喜利する人が続出。Xでも話題になり「#大沢たかお祭り」としてトレンド入りした。