2019年の参院選時には安倍晋三・元首相も応援に駆けつけた(左から安倍氏、太田氏)
食い違う参加者の言い分
太田氏が選挙で支援を求めるために地方議員などに資金提供を申し入れていたとすれば、その行為は公選法に抵触する可能性がある。
同じ6年前の参院選では、広島選挙区で河井克行・元法相と参院選候補だった案里夫人による選挙買収事件が起きた。
河井夫妻は選挙支援を求めて首長や地方議員など100人あまりにカネをバラまき、公選法違反(買収)で有罪が確定した。
河井夫妻を検察に告発した上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「公選法では当選させるため、もしくは当選させないためにお金を渡した場合は違反になる。現金はもちろん、物品や利益、職務を提供するのもアウトです。よって、現金を渡し、特定の候補者を当選させるためという意図がはっきりしていれば、公選法221条に抵触します。相手が受け取っていなくても、出すほうが意図的なら、投票ないし運動買収の申し込みに該当する可能性がある」
A氏の証言では、居酒屋の会合には他に4人の地方議員が同席していた。証言内容についてそれぞれを取材すると、市議の一人は「太田さんと食事はしたことありますが、古い話でよく覚えていない」とし、別の市議は「俺はAが嫌いだから飯なんか食ったことない。昔はあるが、最近は全然ないよ。太田がカネ配っているというが、俺なんか太田からお好み焼きもおごってもらったこともない。そんなのが、お金を配るのか」と語った。
A氏と一緒に席を立ったとされる元町議は「記憶が定かではないが、太田さんが来た会合はありました。どんな話をしたかよく覚えていないが、カネをもらったかもらってないかと言えば僕はもらっていない。途中で席を立った、そんな感じやったと思います」と答えた。
残る一人がB市議だが、こちらは居酒屋での会合の後日の出来事にも関係してくる。A氏が言う。
「参院選が終わって数年後、大阪の議連の研修会で東京に行った時でした。太田房江も顔を出していた。その席で太田は私に、『Aちゃん、Bからいくらもらったの?』と聞いてきたんです。『どういうこと?』と聞き返したら、太田は『Bにあなたの500万円を渡したんだから』と言う。本人は私に渡ったと思っていたらしい」