2019年の参院選時には安倍晋三・元首相も応援に駆けつけた(左から安倍氏、太田氏)
「今回の参院選」でも封筒を出されたという証言も
同じ自民党大阪府連に属するA氏とB氏で証言は真っ向うから食い違うが、「6年前」という時期をめぐっては、もう一つ重大な問題がある。
太田氏の資金管理団体「太田房江後援会」の2018~2019年分の政治資金収支報告書の支出を調べると、地方議員や政治団体などに寄附したという記載はなかった。太田氏が地方議員に資金提供を申し入れたのであれば、原資はどこからきたのか。
注目されるのが自民党の裏金問題との関係だ。
旧安倍派に所属していた太田氏は、同派から2018~2020年の3年間で計214万円のキックバックを受け取りながら、政治資金収支報告書に記載せずに“裏金”にしていたことが明らかになっている。本人は「反省しております」と謝罪した。
旧安倍派の裏金をめぐっては、同派の堀井学・元代議士がキックバックで裏金をつくり、選挙区内で香典や枕花を違法に提供していた事件で公選法違反と政治資金規正法違反に問われ、有罪が確定(2024年9月)したのはまだ記憶に新しい。
上脇博之・神戸学院大学教授はこう言う。
「選挙の前に候補者が領収証も取らずに地方議員らに資金提供を申し入れていた場合、裏金だった可能性があります。そうした疑惑を持たれた政治家は、原資は何か、政治資金収支報告書に記載しているのかを説明する責任があるでしょう」
今回の参院選をめぐっても、太田氏から資金提供の申し出を受けた政治家がいるという情報を得た。その一人が自民党大阪府連の元代議士・中山泰秀氏だという。府連関係者が話す。
「昨年の6月1日に太田さんは側近の元府議らと一緒に中山さんと北新地の焼き鳥屋で会食した。中座した中山さんが席に戻った時、太田さんが『これからよろしくお願いします』とカバンから現金が入っていると思われる封筒を出そうとしたんです。それを見た中山さんは『やめてください。それをされると、もうここにいられませんから』『しまってください』と固辞して受け取らなかったと聞いている。太田さんは他の元代議士にもカネを配りに回って、ほとんど断わられたといいます」
中山氏に聞くと「相手が誰であっても違法行為になるようなことはしません。太田さんに関してそういう噂が立っているというのは自民党の候補者としてはマイナスですよね」と否定しなかった。