北村さんに64年に渡る役者人生を振り返ってもらった
そんな少年時代を過ごした北村さんは、終戦時、「やっと安心して眠れる」と喜んだという。
「あんな悲惨な戦争を経験したのだから、もう戦争は起こらないのだろうな、と思っていました。ところが、そうではありませんでした。戦争の悲惨さを思い起こし伝えていくことが、生き残っている僕の責務だと思っています。
そして演出をしながら、劇団の若い子たちには、僕が素晴らしい先輩方から学んだことを、その一部でも伝えられたらいいな、と思っています」
演出家・北村総一朗も魅力だが、役者としてももっと見たい、というファンもいるのではないか。
「いや、それはもうできる範囲で、ですね」
ぜひまた、あのとぼけた芝居で楽しませてほしい━━多くのファンの願いだ。
(了。前編を読む)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/岩松喜平
プロフィール
1925年9月25日、高知市生まれ。本名:北村総一郎。高知大学農学部卒業後、24歳で上京。1961年、文学座演劇研究所に1期生として入り、1963年に劇団雲、1976年に劇団昴へ。テレビでも活動し、1997年放送開始のドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)で広い人気を獲得。【告知】舞台『フツーの生活 長崎編』:5月22日(木)~6月1日(日)、「Pit昴/サイスタジオ大山第一」(東京・板橋区大山町)で上演 作:中島淳彦 演出:北村総一朗