舞台「ワーニャ伯父さん」(1999年)にて
「電車でつり革につかまりながら、隣にいる女房に向かって『おまえが犯人だってことはわかってるんだぞ』『いつか殺してやる!』とセリフを口に出して言ってしまったことがありました。役に没頭していると、どこにいるのかわからなくなっちゃって。僕の前に座っている人にギョッとして見上げられたことがありました」
その後は、『税務調査官・窓際太郎の事件簿』シリーズ(TBS系)や『京都迷宮案内』シリーズ(テレビ朝日系)などのドラマや、『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系)などのバラエティでも活躍した。
「『踊る大捜査線』で共演した柳葉敏郎君、スリーアミーゴスの2人(小野武彦、斉藤暁)、『京都迷宮案内』で共演した橋爪功君、野際陽子さん、的場浩司君らと仲良くしてもらいました。僕は酒を飲まないから、お誘いを受けてもずいぶん失礼をしちゃったんだけど。
とくに、野際さんは毎年、誕生日にセーターなどの洋服を贈ってくれました。僕はお返しに白い蘭の花を贈ったりしていました。野際さんが亡くなった年(2017年)の僕の誕生日には、当たり前だけど何も来ない。『ああ、亡くなったんだな』と……。
去年亡くなった西田敏行君も、彼が売れる前のことだけど、下北沢の『ひまわり』というスナックでよく一緒に飲んだんですよ。彼は本当に歌がうまくて、人間味溢れる優しい声で歌うんですよ。
で、その場にいるお客さん1人1人の特徴を2、3分しゃべったらすぐにつかんで、即興でその人の歌を作って歌っていました。タダ者じゃないな、と思いましたね。当時は僕のほうが稼いでいたから、彼の名前で酒を入れてあげると、すごく喜んでいました。
多くの仲間が逝ってしまいました。その都度ショックを受けます。悲しいし、寂しい。ただ、いつまでも悲しんでもいられない。オレは生きているんだからがんばろう、と思うんです」