飲み続けるとEDリスクがある薬(その1)
男性ホルモンが減少する
97の薬が並ぶリストのなかでも目を引くのが、高血圧治療に用いられる「降圧剤」の多さだ。リストにはアムロジンやノルバスクといったカルシウム拮抗薬をはじめ、テノーミン、ケルロングといったβ遮断薬など、29の降圧剤が並んだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。
「高血圧患者358人(平均年齢約50歳)を分析したギリシャ・アテネ大学の研究(2006年5月発表)では、降圧剤を内服している人のED罹患率が40.4%であったのに対し、内服していない人は19.8%でした。同研究は、『降圧剤の服用は高血圧患者のEDの発症に影響を与えている』と結論づけています」
なぜ、降圧剤の服用がED発症の原因となるのか。永井医師が言う。
「勃起は陰茎に血液が流れ込むことで起こります。高血圧で動脈硬化が進行すると陰茎への血流が低下し勃起しにくくなる。実際に、高血圧はEDのリスクファクターの一つです。
そうしたところに降圧剤の服用で血圧が下がると、陰茎への血流が低下し、ED発症の確率が高まると考えられます」
薬剤師の長澤育弘氏が語る。
「降圧剤のうち、血管を拡げる作用のあるカルシウム拮抗薬や、血圧を上げる神経の働きを抑えるβ遮断薬は降圧効果が高い代わりに、EDの副作用リスクも高いとされます。一方で、血管の収縮を防ぐ作用のあるARBやACE阻害薬、血圧を上げる神経の働きを抑えるα1遮断薬などは、リスクが低いとされる」
同じく生活習慣病の治療に用いられる「糖尿病治療薬」にEDリスクのある薬が含まれている。
「例えば『SGLT2阻害薬』は利尿作用により血液中の糖を減らす作用があります。しかし、利尿作用が効き過ぎて脱水状態になると、血液の量が減少して血圧が下がる可能性があり、陰茎への血流が減ってEDを起こす原因になると推測されます」(長澤氏)