飲み続けるとEDリスクがある薬(その2)
本来の効果・効能がEDの原因となる場合があるのは「脂質異常症治療薬」も同様だ。
「スタチン系薬、フィブラート系薬は、血液中の“悪玉”と呼ばれるLDLコレステロールを減らす作用がありますが、同時に、コレステロールを原料とする男性ホルモン・テストステロンも減少させると考えられます。テストステロンの減少は勃起力の減少や性衝動が起きないなど、男性機能の低下に繋がるとされています」(同前)
前立腺肥大症の治療に使われる「排尿改善薬」にもEDリスクを伴う薬がある。永井医師が解説する。
「排尿改善薬の『5α還元酵素阻害薬』は男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制して前立腺を縮小させ、頻尿などの症状を改善する薬です。しかし、同薬は多くの研究でEDを誘発するとされています。ある論文では、同薬が勃起に必須の血管拡張物質NO(一酸化窒素)の合成能力を阻害してしまい、それがEDの要因になると書かれています」
複数の論文データの分析からもその発生率の高さがわかっている。室井氏が言う。
「5α還元酵素阻害薬・デュタステリドのED発生率を調べたイタリア・ロヴェレート病院などの研究グループによる論文(2002年から2014年までに発表された100本以上の研究を分析)によると、同薬を服用した人と、服用していない人のED発生率の差は最大約3.7倍でした」
男性ホルモンを抑制することでEDリスクを高めるのは、前立腺がんの治療に使われる「抗アンドロゲン薬」も同様だ。
「前立腺がんは男性ホルモンのアンドロゲンを利用して増殖しますが、そのホルモンの作用を抑制するのが抗アンドロゲン薬です。アンドロゲンは勃起機能の維持を担うホルモンであるため、その抑制がEDを引き起こすと考えられています」(長澤氏)