須藤元気は2019年の参院選で立憲民主党から全国比例で出馬して当選したが、その後に離党(2020年6月写真撮影:小川裕夫)
勢力拡大を急ぐ国民民主党が、多くの候補者を擁立して議席数を増やしたいことは理解できる。2024衆院選では名簿に記載された候補者が足りず、他党に3名分の議席を譲ってしまった。それは、せっかく有権者が投じてくれた一票を無駄にしたことを意味する。今回の参院選で、そうした事態は避けたい。
立憲も参議院議員を辞職して2024年の東京都知事選挙に臨んだ蓮舫氏を擁立するとの報道が流れた。報道が出た際、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「帰ってくるのはウルトラマンと蓮舫さん」と揶揄したが、その批判は国民民主党にもブーメランとして跳ね返ってきている。ちなみに、蓮舫氏の擁立報道が出たものの、今のところ立憲民主党から正式な発表はない。
維新や国民民主党が何も考えずに候補者を擁立しているわけではないだろうが、参院選が今夏に実施されることは以前から誰もがわかっていた。だから、衆院選直後からその準備を始めることができたはずだ。それにもかかわらず、両党の候補者の選定・擁立に対して、時間をかけて熟慮した形跡を感じさせない。
筆者は、これまで20年にわたって永田町を取材してきた。山尾志桜里氏が一年生議員だった頃に事業仕分けで舌鋒鋭く追及していた姿も、民進党の政調会長として時の人になった際にも取材をしている。
須藤氏についても、初登院時の姿や立憲執行部の意向に反して離党してれいわ新選組の街頭演説に登壇したこと、さらに東京15区の補選でも取材している。先述した維新から立候補予定の音喜多氏についても、東京都議時代から繰り返し街頭演説を取材してきた。
これらの議員のほかにも、落選して再起を図ろうと奮闘する元議員は何人も取材している。そうした多くの国会議員になりたいと考える人たちを見てきて、なにがなんでもバッジをつけたいという気持ちになることは理解できなくはない。
そもそもバッジがなければ、予算審議にも法案採決にも加わることはできないのだから、議員と非議員では持てる権限は天と地ほど違う。何はともあれ、議員にならなければ自分が求める政治を始められない。政治家を志すからには、少なからず野心も必要だろう。
とはいえ、そういった「とにかく議員になりたい」という私心を全面的に出されると、有権者は興醒めしてしまう。