俳優として飛躍している野呂佳代
AKB48出身で、卒業後はバラエティなどで活躍。そして最近では俳優として大きく飛躍している野呂佳代(41才)。業界では「野呂佳代の出るドラマにハズレなし」とも言われるなど高い評価を受けている。その野呂の「リアルな評価」とは──。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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いつからか「野呂佳代の出るドラマにハズレなし」が世間の人々に浸透しました。
現在、野呂さんはドラマ『なんで私が神説教』(日本テレビ系)で主人公の務める高校の学年主任を演じていますが、何と当作で7クール連続ドラマ出演。民放各局からNHKまでを網羅していることも含め、いかに制作サイドと視聴者から求められているかがわかるでしょう。
そんな野呂さんの人気を裏付けるのは、ここにきて出演番組の幅が広がっていること。18日には『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)のメインゲストとして出演。同番組は資生堂の一社提供番組だけに、「女性好感度の高い有名人」というお墨付きが得られたように見えます。
また、同じ18日には『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)「ボクらの丁稚物語2025 ~16歳 夢の行方と迷い道~」の“語り”を担当。同番組の“語り”は一流女優が務めるケースが多く、しかも25日の放送を含む2週連続の大型企画です。
現在、野呂さんは芸歴20年目の41歳ですが、なぜ「出るドラマにハズレなし」と言われるのか? 業界内でも「出るドラマにハズレなし」と言われているのか? 世間と業界から見たリアルな現在地点を掘り下げていきます。
野呂佳代が求められる理由が目白押し
なぜ「野呂佳代の出るドラマはハズレなし」と言われるのか。
野呂さんのドラマ出演が最初にフィーチャーされたメジャー作品は2021年の『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)。若い医師たちを包み込むような明るい救命救急センターの看護師を好演して「こういう看護師いる」などと称賛されました。密かにドラマフリークの支持を集めたのが翌2022年の『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京系)で演じた経理OL。穏やかな癒し系ながら、実はぽっちゃり体型がコンプレックスで傷つきやすい女性を演じて「ハマリ役」の声があがりました。
同年の『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)では間食と井戸端会議が好きな看護師、2023年の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)では自分の地元にもいそうな主人公の同級生、2024年の『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)では主人公の背中を押すベテラン麻酔科医、同年の『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)では主人公の親友で家事代行サービス勤務のしっかり者、同年の『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)では主人公の元クラスメイトでプロレス好きな3児の母。
2025年の『ホットスポット』(日本テレビ系)では客室のテレビを盗もうとして「シングルマザーで生活が苦しいから」と言い訳するホテル清掃スタッフを演じました。役柄の大半は「自分の周りにいそう」と思わせる普通の女性であり、野呂さんが力の抜けた自然な演技をして、それが受け入れられている様子がうかがえます。
その結果、「野呂佳代の出ているドラマはリアリティがあり、親近感が持てる」という印象がジワジワと浸透したのでしょう。さらに「野呂佳代と主演俳優の共演シーンでは主人公の魅力が引き立つ」「野呂がいるとアクセントとなるコメディパートが作りやすい」などのメリットもあり、制作サイドを助ける存在となっています。
次に業界内でも「出るドラマにハズレなし」と思われているのか。実際のところ、そういう声は聞いたことはありませんが、「野呂佳代が出るから作品の好感度が上がる」「美女ばかりになりがちなドラマと視聴者の距離を埋めてくれる」「これだけ出ても飽きられないのは演技もキャラクターもいいから」などと評価されています。いずれにしても「野呂佳代の作品選びがうまい」というわけではなく、「野呂佳代が出ることで見たくなる」という俳優であることは間違いないでしょう。
野呂さんは22歳のときにAKB48のオーディションに合格した遅咲きのアイドルでしたが、もともと女優志望。だからこそ作品と役柄に向き合う真摯な姿勢や、現場を楽しもうとする明るさも、制作サイドから愛される理由の1つとなっているようです。