懸命に看病していた三奈さん(2018年)
甲子園の取材をキャンセルし懸命に看病
2018年8月中旬には、グレーのジャージと迷彩色のロングスカートという服装で、目元まで隠れる大きなマスクをして、長嶋さんが入院している東京都心の大学病院へと小走りで駆けていく三奈さんの姿があった。
「看病は、長年長嶋さんの身の回りの世話をしている男性と三奈さんの2人が交代でされていたようです。フリーアナウンサーである三奈さんは、毎年この時期には甲子園で高校球児を取材していましたが、この年は取材をキャンセルして長嶋さんに付き添っていました。
その後、病状が報じられてからは甲子園にも姿を見せるようになりましたが、病院通いは欠かさず、時には家に帰らず病院に泊まることもあったといいます」(同前)
三奈さんの献身的な看病の甲斐あって、長嶋さんは奇跡の回復を遂げた。2021年の東京オリンピックでは開会式に聖火ランナーとして登場。車椅子を使わず、自らの歩みで聖火を繋いだ。
それから約4年──日本のプロ野球界を牽引し、球界で初めて文化勲章にも選ばれた偉大な存在、長嶋茂雄さんの人生は静かに幕を下ろした。奇しくも6月3日は、三奈さんの誕生日でもあった。
2024年5月3日、東京ドームで開催された球団創設90周年記念の特別試合「長嶋茂雄DAY」にて、背番号「3」の入った巨人のユニホームを着てファーストピッチを務めた三奈さんは次のように語っていた。
「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいです」
家族の深い愛情と共に、ミスタープロ野球・長嶋茂雄さんは天国へと旅立った。ご冥福をお祈りします。